2022 Fiscal Year Research-status Report
Neurophysiological study for the elucidation of the difference of the central mechanism of nausea and vomiting and the development of the nausea suppression therapy.
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22K09900
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
舩橋 誠 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (80221555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 賢 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (40324735)
吉澤 知彦 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (70825744)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 悪心 / 嘔吐 / 最後野 / 孤束核 / 迷走神経 / 条件付け味覚嫌悪 / 味覚反応試験 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
悪心の誘発機序について嘔吐と明確に区別して解明することを目的としてラットを用いた動物実験を行った。ラットは嘔吐しない動物であるが、悪心を感じて条件付け味覚嫌悪(CTA:conditioned taste aversion)を獲得する。CTAの記憶は薬物誘発悪心の重症度に比例して1日から1週間続くことが分かっている。特に本研究では、急性の強力な催吐性を有する吐根の成分であるエメチン,副作用として急性および遅発性の重篤な悪心・嘔吐を惹起する抗悪性腫瘍薬であるシスプラチンは重篤な悪心を誘発することが知られているが、シスプラチンによる悪心を誘発してサッカリンの甘味に対して味覚条件付けを行った場合に起こるサッカリン忌避行動が,サッカリン再摂取時に条件付け悪心を伴うかいなかが不明であったため、先ずはじめに味覚反応試験(Taste reactivity test:TR test)を行った。他に催吐作用のあるエメチン、トラネキサム酸についてもTR testを行った。ラットがCTAを獲得した場合に、甘味の再摂取時に条件付け悪心を感じているか否かはゲーピング行動の有無によって判定した。エメチン、シスプラチン、トラネキサム酸はいずれもCTAを惹起し、TR testでもゲーピング行動の著しい増加を確認でき、これら全ての薬物は悪心を誘発するとともに味覚に対する嫌悪感を伴う条件付け悪心を示すことが確定できた。次に最後野切除群と迷走神経求心路切除群およびそれぞれの偽手術群を作成して同様の実験を行ったところ、エメチン誘発悪心は最後野切除によってCTA獲得はほぼ消失するが、シスプラチン誘発悪心は最後野および迷走神経求心路切除の両方を行ってもラットのCTA獲得は消失しないことが分かった。さらに、このシスプラチン誘発のCTAはデキサメタゾン投与によりほぼ消失することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種催吐物質を腹腔内投与することによるCTA獲得について着実に実験を行っており、また、新たにとりいれたTR testの実験手法も着実に実行してデータを得ることができるようになり、進捗状況は概ね予定通りである。国内学会における発表は対面形式で行い、有意義なディスカッションの機会を得た。しかし、国際学会はオンライン開催が主流のため十分な意見交換を行うことができたとは言い難い。できる限り早く国際的学術雑誌へ結果を公表をするために準備を始めている。以上から、おおむね順調な進捗状況であると判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
最後野および迷走神経求心路切除の両方を行ったラットにおいて、シスプラチン誘発のCTA獲得を認めることと、これがデキサメタゾン投与によりほぼ消失することについては、できる限り早く国際的学術雑誌へ論文投稿できるように準備を進めている。今後の研究においては、最後野および迷走神経求心路切除を行ったラットを用いてTR testを行い、シスプラチンおよびエメチンの悪心誘発に関わる神経機序を明らかにする。さらに、甘味に対する味覚嫌悪を獲得したラットは、甘い溶液の摂取を忌避することは分かっている一方で、甘い餌の摂取を嫌悪するかどうかは不明であるため、これについても実験を行う予定である。これにより喉の渇きによる飲水欲求に対して味覚嫌悪記憶が飲水行動を抑制するのに対して、空腹感による食欲に対して味覚嫌悪記憶がどのように働くのかを考察することが可能となるのではないかと考えている。
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Causes of Carryover |
国際学会への参加を予定していたがオンラインを併用したハイブリッド方式となったことから、対面での参加者が少ないことを考慮してオンラインで参加して発表した。そのため、旅費相当分が未使用となり次年度使用額が生じた。次年度使用額は国際学会への参加費および旅費に充当する予定である。
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Research Products
(17 results)