2022 Fiscal Year Research-status Report
新規ニッケル結合性T細胞を基軸としたニッケルアレルギー病態形成機構の解明
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22K09939
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒石 智誠 東北大学, 歯学研究科, 講師 (30400261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 俊二 東北大学, 歯学研究科, 教授 (10241639)
江草 宏 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30379078)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 金属アレルギー / ニッケルアレルギー / CD4陽性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚所属リンパ節におけるNi結合性CD4+T細胞の解析 マウス皮膚所属リンパ節細胞をin vitroでNi溶液と反応させた後、金属イオン蛍光プローブであるNewport green(NPG)および各種蛍光抗体で染色し、フローサイトメトリーで解析した。その結果、CD4+T細胞(B220-NK1.1-CD4+)の約0.5%がNPG強陽性のNi結合性細胞であった。また、CD4+T細胞全体の約24%がCD62L-であったのに対し、Ni結合性CD4+T細胞では約95%がCD62L-であった。さらに、CD4+T細胞全体の約4%がCD25+であったのに対し、Ni結合性CD4+T細胞では約13%がCD25+であった。同様の方法で解析したNi結合性樹状細胞の場合、Ni結合能(NPG染色の平均蛍光強度)について、皮膚所属リンパ節では腸間膜リンパ節に比較して有意に高値であった。これに対し、Ni結合性CD4+T細胞の場合、その存在比率やNPG染色の平均蛍光強度について、両リンパ節の間に有意差は認められなかった。 NiアレルギーマウスにおけるNi結合性CD4+T細胞の解析 Ni感作マウスの耳介にNi溶液を皮下接種し(Niチャレンジ)、Niアレルギー性炎症を誘導した。そして、所属リンパ節(耳介リンパ節)と非所属リンパ節(鼠経リンパ節)におけるNi結合性CD4+T細胞を解析した。その結果、所属、非所属リンパ節のいずれにおいても、Ni結合性CD4+T細胞の存在比率やNPG染色の平均蛍光強度に有意な差は認められなかった。また、ナイーブ(Ni非感作)マウスの耳介へリポポリサッカライド(LPS)や高濃度Ni溶液を皮下接種し非アレルギー性炎症を誘導した場合においても、所属リンパ節と非所属リンパ節におけるNi結合性CD4+T細胞の存在比率に有意な差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「皮膚所属リンパ節におけるNi結合性CD4+T細胞の性状」や「NiアレルギーマウスにおけるNi結合性CD4+T細胞の変動」について研究を進めることは出来たが、本研究計画の主要な目的である「Ni結合性CD4+T細胞における遺伝子発現の網羅的解析」を行うことができなかったため「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究体制は変更せず、研究分担者および研究協力者と緊密に連携し、精力的に研究を推進する。 初年度に行うことが出来なかった「Ni結合性CD4+T細胞における遺伝子発現の網羅的解析」を重点的に進める。
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Causes of Carryover |
生じた理由 物品を当初予算より安価で購入できたため。学会出張が中止となり旅費が生じなかったため。 使用計画 次年度に物品費として使用する。
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