2023 Fiscal Year Research-status Report
バクテロイデーテス細菌の滑走運動によるバイオフィルム拡張メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K09942
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 啓子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (70410579)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 主税 日本大学, 医学部, 客員研究員 (00357146)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 歯周病細菌 / 滑走運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は複数の細菌種が関与する混合感染症であり、特定のタンパク質分泌装置(Type IX Secretion System: T9SS)を持つ数種の細菌の存在下でバイオフィルムの病原性が高まる。歯周病はバイオフィルムによる組織の炎症性疾患であり、そのバイオフィルムの病原性や形成拡張にT9SSは深く関わると考えられる。口腔の滑走運動は非運動性細菌の病原細菌を菌体表層にくっつけて荷として運び、バイオフィルム拡張に関わる可能性があると報告される。滑走細菌が形成する拡張したコロニー内部では、ベジクルやファイバー様構造物で満たされたマトリックスの中に菌体が点在して移動しており、バイオフィルム形態となっている。滑走細菌とバイオフィルム拡張の関わりを観察するために、滑走細菌に対するトランスポゾンミュータジェネシス用プラスミドを構築した。このシステムを用いて、冷水病魚から分離した滑走細菌において、コロニー拡張または滑走運動能が著しく抑えられる変異株を複数分離した。さらに、それらのトランスポゾン挿入部位を決定した。得られた変異株に対して相補株の作成を試みたが、現存の遺伝子操作では相補株取得が叶わなかった。さらに、変異株取得のための他の方法である、紫外線照射による突然変異の生成による滑走運動能欠損株作成を試みた。ゲノム上に薬剤耐性カセットが残らない点が利点になる。紫外線照射後にコロニーを形成した20,000株のうち、コロニー拡張が著しく抑えられる変異株を1株得た。コロニー拡張能欠損株のゲノム解読をおこなったところ、1つの既知の滑走運動遺伝子にフレームシフトが入っていた。このたび構築したトランスポゾンミュータジェネシスのシステムの方が滑走能変異株は効率良く得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自然界から分離された滑走細菌に対する、変異株取得のための遺伝子操作を行うことができた。この度構築した変異株作成法を用いて、効率良く変異株を得られることがわかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
トランスポゾンミュータジェネシスを用いて得られた滑走細菌の滑走能変異株の遺伝子解析を行う。
|
Causes of Carryover |
変異株作成法の構築に時間がかかったのと、前年度の遅れが影響しており、本年度購入予定であった消耗品等の購入を次年度に使用する計画としたため。
|
Research Products
(3 results)