2022 Fiscal Year Research-status Report
GBPsによるLPS認識が歯周炎ならびに炎症性腸疾患に及ぼす病因的役割の解明
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22K09951
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
片岡 嗣雄 朝日大学, 歯学部, 講師 (60451390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
引頭 毅 朝日大学, 歯学部, 教授 (10360918)
森 大気 朝日大学, 歯学部, 助教 (10743544)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯周病原細菌 / LPS / インフラマソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、Porphyromonas gingivalis菌体から精製されたLPS(LPS-PG)ならびにP. gingivalisの培養上清から分離した外膜小胞(OMV)を用い、これらがヒト細胞質内でどのように認識されているかについて検討した。細胞質内のLPSは、Caspase 4活性化によって引き起こされるnon canonicalインフラマソーム活性化経路を介してIL-18産生やパイロトーシスを誘導することが明らかになってきているが、P. gingivalisのLPが実際にどのような経路で認識されているかは現在まで不明である。そこで、精製されたLPS-PGをヒト単球系細胞株THP-1ならびにヒト歯肉上皮細胞HSC-2にリポフェクション試薬を用いて導入し、IL-18の産生とパイロトーシスが誘導されるかどうかを調べた。その結果、細胞質内に導入したLPS-PGはIL-18産生とパイロトーシスを誘導しなかったが、導入前の細胞をIFN-γでプライミングすると、これらが誘導されることが示された。この結果は、IFN-γ誘導性因子であるグアニル酸結合タンパク質(GBPs)が細胞質内LPS-PGの認識に関与していることを示唆するものであり、現在はGBPsの役割について解析を進めている。また、P. gingivalisから分離したOMVは、IFNγでプライミングした細胞において、リポフェクション試薬によって細胞質内に導入しなくてもパイロトーシスを誘導した。以上の研究成果は、2022年9月に開催された第65回歯科基礎医学会学術集会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞質内LPS-PGのの認識について、安定した実験結果がなかなか得られずにいたが、使用する細胞株を変更して実験を繰り返した結果、現在では安定した実験結果が得られている。その試行錯誤に時間を費やしたが、現在では細胞内LPS-PGの認識機構について解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はまず、IFN-γ誘導性因子であるグアニル酸結合タンパク質(GBPs)が細胞質内LPS-PGの認識に関与していることを明らかにするために、siRNAによってGBPsをノックダウンした細胞を作製し、細胞内LPS-PGに対する応答の変化を調べる。また、GBPsの活性を喪失させた変異体を作製し、その変異体を発現ベクターによって細胞に強制発現させて細胞質内LPS-PGに対する応答を変化を調べる。このようにして、GBPsの細胞質内LPS-PG認識における役割を明らかにする。
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Causes of Carryover |
安定した実験結果を得るための細胞株の選択に時間がかかり、基礎実験から次の段階になかなか進めなかったため、次の段階で使用する試薬等の購入が遅れたためである。しかし現在では、安定した実験系が確立されたため、計画していた通りの試薬等の購入を勧める予定である。
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