2023 Fiscal Year Research-status Report
GBPsによるLPS認識が歯周炎ならびに炎症性腸疾患に及ぼす病因的役割の解明
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22K09951
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
片岡 嗣雄 朝日大学, 歯学部, 講師 (60451390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
引頭 毅 朝日大学, 歯学部, 教授 (10360918)
森 大気 朝日大学, 歯学部, 助教 (10743544)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯周病原細菌 / LPS / インフラマソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、Porphyromonas gingivalis菌体から精製されたLPS(LPS-PG)のヒト細胞質内における認識に、IFN-γ誘導性因子であるグアニル酸結合タンパク質(GBPs)がどのように関与しているかについて検討した。細胞質内のLPSは、Caspase 4の活性化によって 引き起こされるnon canonicalインフラマソーム活性化経路を介してIL-18産生やパイロトーシスを誘導することが明らかになってきているが、GBPsがこの経路にどのように関与しているかについては、現在まで不明である。そこで、ヒト歯肉上皮細胞HSC-2において、siRNAを用いることによってGBPsの1つであるGBP1をノックダウンした細胞を作製し、リポフェクション試薬を用いて細胞内に導入したLPS-PGに対する応答の変化を調べた。その結果、siRNAの導入によってHSC-2におけるGBP1の発現がほぼ完全に抑制されたこと、そして、そのノックダウン細胞ではIFNγによるプライミングを行っても、細胞内LPS-PGによるIL-18産生とパイロトーシス誘導がほぼ完全に阻害されたことが示された。そして、HSC-2をCaspase 4阻害剤Z-LEVD-FMKで処理すると、IFNγによるプライミングを行っても、細胞内導入LPS-PGによるIL-18産生とパイロトーシス誘導がほぼ完全に阻害されたことも示された。以上の実験結果から、細胞内LPS-PGは、IFNγプライミングで誘導されるGBP1を介してCaspase 4を活性化し、炎症応答を誘導することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト歯肉上皮細胞に効率的にsiRNAを導入する方法について試行錯誤を続けていたが、様々な試薬と実験条件下で実験を繰り返した結果、現在では安定した実験結果が得られている。その試行錯誤に時間を費やしたが、現在では細胞内LPS-PGの認識機構について解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はまず、ヒト歯肉上皮細胞においてIFN-γのプライミングで誘導されるGBPsが、Caspase 4活性化を介して細胞質内LPS-PGの認識に関与していることを複数の実験データにより確実に明らかにする。そして、炎症性腸疾患(IBD)と細胞質内LPS-PG認識の関係性を明らかにするために、3%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)水溶液を投与して作製したIBDモデルマウスでLPS-PGによる歯周炎を誘発し、GBPsの発現やCaspase 4の活性化がIBD増悪に関与しているかどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
siRNAによるGBP1ノックダウンの実験系確立に時間がかかり、IBDモデルマウスを使った実験の段階へなかなか進めなかったため。マウス実験のための予算の使用が遅れたためである。しかし現在では、安定した実験系が確立されたため、計画していた通りの試薬等の購入を勧める予定である。
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