2023 Fiscal Year Research-status Report
プレバイオティクスを見据えた細菌叢と免疫細胞の偏移に関わる物質探索
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22K09954
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
沖永 敏則 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (60582773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 一也 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (10236268)
西保 亜希 神戸常盤大学, 保健科学部, 助教 (30880653)
南部 隆之 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80367903)
真下 千穂 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80368159)
円山 由郷 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (90610296)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 炎症 / プラーク / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫系で病原体が検出されると免疫反応が引き起こされる。炎症反応には、いくつかのタイプの特異的プログラム細胞死が関与している。放線菌は、ヒトの口腔プラークに常在する細菌であり、しばしば病原性細菌の橋渡し役となり、歯面への親和性を欠くことでプラークへの定着を助ける。口腔疾患の初期段階におけるActinomyces属の潜在的役割を新たな視点から研究を展開した。本研究では、Actinomyces orisMG-1(A. oris)を用いた。分化THP-1(dTHP-1)細胞をA. orisで一過性に処理し、炎症反応をモデル化した。細胞生存率、およびdTHP-1細胞の相対的な遺伝子およびタンパク質発現レベルは、CCK-8、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、およびウェスタンブロットアッセイを用いて評価した。結果として、A. orisは細胞生存率を低下させ、IL-1R1やNLRP3などの炎症性遺伝子の発現を増加させた。また、IL-1βの上清への放出が有意に亢進することが観察された。逆に、TLR2阻害剤で前処理したモデルでは、N-ガスダミンDは処理後12時間しか検出されず、24時間後には検出されなくなった。このことから、A. orisはTLR2を介して、ヒトマクロファージに炎症応答を誘導することが明らかになった。 また、歯周病細菌Fusobacterium nucleatumの口腔扁平上皮癌細胞の上皮間葉転換(EMT)に及ぼす影響について研究展開を行った。細胞としてHSC-3細胞を使用した。Wound Healigアッセイにより、F. nucleatumが細胞遊走能を誘導し、EMT関連因子の発現誘導をすることを明らかにした。そして、これらの誘導を抑制するポリフェノール類の効果について研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、A. orisが免疫細胞に与える影響についての実験系の構築、F. nucleatumが癌細胞に及ぼす影響に対するメカニズムおよび抑制物質の探索、プロポリスの歯周病原細菌に与える影響など、細菌学的および分子生物学的観点から、多角的な研究が展開できた。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔細菌叢の一つであるA. orisが炎症誘導をすることを明らかにした。今後の研究で、この炎症誘導を抑制するポリフェノール類を同定し、口腔細菌叢に与える影響について、次世代シーケンサーを用いて検証する。また、歯周病モデルマウスを構築し、in vivoの系における抗炎症および、細菌叢に影響を与える物質の探索に臨む。
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Causes of Carryover |
想定していた動物実験に係る経費において、使用するキットの種類および数量に変更があった為、発生した。次年度において、計画通りのキット等を使用する。
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