2022 Fiscal Year Research-status Report
歯周病に起因する認知症発症の新しいメカニズムの解明
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22K09955
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
岸川 咲吏 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50781358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 芳彦 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (00398083)
永尾 潤一 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (30509047)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯周病 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は歯周病原細菌の感染による慢性的な口腔感染症であり、認知症のリスクファクターである。近年、認知症の病態が歯周病の罹患によって加速度的に悪化し、その有病率は加齢とともに増加することが報告されている。しかし若年者の脳における歯周病のリスクについては不明な点が多い。本研究では、細胞老化に着目し、目標1) 歯周病原細菌の感染によって脳に誘導される責任免疫細胞の特定と、目標2) その責任免疫細胞によって惹起される老化メカニズムを解明することで、歯周病が若年者の脳に及ぼす免疫学的・神経学的影響を明らかにすることを目的とする。 当該年度(令和4年)には目標1) の具体的な項目として、①歯周病モデルマウスの行動解析と②責任免疫細胞に特徴的な分子の探索を目的として挙げていた。 ①の結果、野生型マウスに比べて、歯周病モデルマウスでは行動試験で不安様症状が見られたが、強迫性の不安様行動は示さなかった。次に、歯周病原細菌感染による記憶・認知機能への影響を検討するためにいくつかの行動試験を行った。その結果、歯周病モデルマウスでは場所への認知に対する変化が見られた。また、②を明らかにする目的でフローサイトメトリーを用いて野生型マウスと歯周病モデルマウスの脳と末梢の組織の免疫細胞を解析した。その結果、歯周病モデルマウスの脳では特定の免疫細胞の割合が増加していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯周病原細菌の感染から歯周病の発症に至るまでに起きるマウスの行動変化と、その過程で脳に誘導される責任免疫細胞を特定したことで、目標1)を達成できた。また、当該年度の目標と、それ以降の計画の一部を現在進めることができており、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
歯周病モデルマウスの作製後、脳組織に最も責任免疫細胞が集積する時期とその影響を受ける細胞を調べるために、経時的に追跡する必要がある。
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Causes of Carryover |
今年度、旅費が予定よりも安価であったため、その残高を翌年度の予算に繰り越す。
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Research Products
(2 results)