2022 Fiscal Year Research-status Report
合成致死性を用いた新しいがん治療法の検討~変異に応じた個別療法の確立を目指して~
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22K09956
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
藤兼 亮輔 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (20581713)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞死 / ミスマッチ修復 / DNA複製ストレス / DNA損傷応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA修復経路異常との合成致死をスクリーニングを試みるため、レンチウイルスを用いたCRISPRライブラリーの調製の準備を行なった。これと並行して、DNA修復異常でアルキル化剤に高感受性を示す遺伝子の候補を調べたところ、FANCD2を同定した。子宮頸がん細胞株でFANCD2をCRISPR/Cas9法でノックアウトすると、FANCD2欠損細胞は野生株と比べてミスマッチ修復に依存した細胞死が促進しており、野生株と比べてアルキル化剤に高感受性を示すことがわかった。FANCD2はDNA損傷に起因する複製ストレスに応答するタンパク質で、DNA修復経路の一つであるファンコニ経路の重要な因子である。FANCD2がアルキル化損傷応答にどのように関与するか調べるため、FANCD2の細胞内局在を調べたところ、アルキル化損傷依存してミスマッチ修復複合体と共局在することがわかり、ミスマッチ複合体によって引き起こされるDNA複製ストレスを処理していると予想された。ファンコニ経路はさまざまなDNA損傷に対する応答に関与するため、合成致死の新規のターゲットとなると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルキル化損傷応答にFANCD2が深く関与していることが明らかとなり、DNA修復経路をターゲットにした合成致死を考え上で重要な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
レンチウイルスを用いたCRISPRライブラリーでFANCD2経路をモデルとして薬剤感受性株をスクリーニングする。また、口腔がん細胞のDNA修復経路の遺伝子変異と薬剤感受性を再確認し、CRISPRライブラリーを用いて合成致死遺伝子をスクリーニングする。
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