2022 Fiscal Year Research-status Report
Regeneration of the periodontal tissue induced by the modified site-specific mesenchymal stem cells.
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22K09957
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 智美 北海道大学, 歯学研究院, 技術専門職員 (50399953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 彩 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (60514312)
鈴木 伸吾 北海道大学, 歯学研究院, 技術職員 (70847839)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯肉由来間葉系幹細胞 / 細胞特性 / メカニカルストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、幹細胞の分化-成熟過程と周囲環境因子との関連性、および様々な刺激による細胞特性の変化について着目し、歯肉由来間葉系幹細胞から、歯根膜の修復・再生に利用可能な歯根膜由来間葉系幹細胞の特性をもつ細胞をつくることを目的としている。歯根膜および歯肉由来細胞の細胞生物学的特性について、令和4年度は以下の研究を遂行した。 1.歯根膜および歯肉由来細胞の分離:7週齢のWistar Ratを用いて、上下第1、第2臼歯および臼歯部歯肉から歯根膜と歯肉を摘出し、得られた組織をコラゲナーゼ溶液とトリプシン溶液で処理後、αMEM培地で約2週間培養した。各組織から分離培養した細胞について、以下の実験を行った。 2.細胞特性の確認:歯根膜および歯肉組織から得られた細胞を用いて、歯根膜で高発現しているPLAP-1/asporinおよびperiostinについて、Western blotting法および蛍光免疫染色によるタンパク発現を検索した。また、それぞれの細胞を用いて骨芽細胞/脂肪細胞への分化能および増殖能についても検索を行い、これらの違いを比較した。その結果、歯肉由来細胞および歯根膜由来細胞において、asporinとperiostinのタンパク発現が確認された。一方、歯肉由来細胞では脂肪細胞への分化能と増殖能が高く、歯根膜由来細胞では石灰化能の亢進が認められた。 以上のことより、歯肉由来細胞と歯根膜由来細胞は異なる細胞特性を示すことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では令和4年度の実験で、それぞれ分離培養した細胞におけるRANKLやOPGといった破骨細胞制御因子の検索および破骨細胞前駆細胞との共存培養を行い、破骨細胞誘導能を検索する予定であったが、これらの実験は次年度に繰り越しとなってしまった。 それ以外の実験については、おおむね予定通りに進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、昨年度より持ち越した破骨細胞誘導能についての検索を含め、以下のような実験計画で研究を行う。 1.歯肉由来細胞への刺激:分離培養した歯肉由来細胞が新たな細胞特性を獲得するための条件を検討する。細胞特性を変化させるためのメカニカルストレスとして、伸展刺激もしくは荷重刺激を与える。一定期間メカニカルストレスを与えた後、細胞特性がどのように変化したか確認し、歯根膜由来細胞の細胞特性と比較検討する。細胞特性に変化がみられなかった際は、メカニカルストレスの種類、強さ、長さの変更などの対応を考えている。 2.移植実験:遺伝子改変によりGFP(green fluorescent protein)を発現するラット SD-Tg(CAG-EGFP)(以下GFPラット)から歯肉由来細胞を分離培養する。刺激により歯根膜由来細胞と近似した細胞特性を獲得させた後、SDラットの左上顎第1臼歯抜歯窩へ移植し、組織標本にて歯根膜の修復・再生の様子を顕微鏡で観察する。移植した歯肉由来細胞はGFPラット由来の細胞であるため既存の組織と識別が可能であり、歯周組織の再生に利用されたかどうか確認できる。
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Causes of Carryover |
研究計画では令和4年度の実験において、それぞれ分離培養した細胞における破骨細胞誘導能を検索する予定であったが、これらの実験は次年度に繰り越しとなってしまった。そのために研究費の一部に未使用額が生じてしまった。 次年度においては、繰り越してしまった破骨細胞誘導能についての検索を行う。また、歯肉由来細胞に対するメカニカルストレス負荷実験および、その後の細胞特性の確認、GFPラットへの移植実験へと研究を進める予定である。研究費については、これらの実験に必要な試薬、消耗品、実験動物の購入・飼育に使用する。また得られた結果を関連学会等で発表するための経費に充てる予定である。
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