2022 Fiscal Year Research-status Report
Tertiary dentin formation via hormesis effect induced by black-light irradiation
Project/Area Number |
22K09958
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 圭祐 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (30431589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宍戸 駿一 東北大学, 歯学研究科, 助教 (20850613)
白土 翠 東北大学, 歯学研究科, 助教 (60708501)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 紫外線 / ブラックライト / 第三象牙質 / 歯髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従って、ブラックライト(波長365 nmのLED)照射がラットの歯髄に及ぼす影響を調べた。ラットの上顎第一大臼歯に対して2 W/cm2の条件で90秒間照射を行った。照射による熱の影響を避けるために大臼歯咬合面を水で冷却しながら照射を実施した。反対側の第一大臼歯は照射を実施しないコントロールとした。また、照射する光の波長の影響を調べるために、ブラックライトの代わりに波長400 nmのLEDで照射した場合の歯髄に対する影響も調べた。波長以外の照射条件(放射照度と照射時間)はブラックライト照射群と同一に設定した。放射照度の測定にはパワーメーター(FieldMate)を用いた。 照射実施の3週間後に、上顎第一大臼歯のマイクロCT分析を実施した。その後、第一大臼歯の脱灰、脱水、パラフィン包埋、薄切を行い、歯髄の組織学的分析を行った。マイクロCT分析の結果、ブラックライト照射群では、反対側のコントロール群と比較して、歯冠部歯髄腔の体積が減少している傾向が認められた。また、組織学的分析の結果、第三象牙質の形成が認められた。すなわち、ブラックライト照射によって、第三象牙質の形成が促進されて歯髄腔が狭小化することが分かった。一方、400 nmのLED照射では、歯髄腔の体積に変化は認められなかった。これらの結果より、90秒といった比較的短い照射時間であっても、ブラックライト照射により第三象牙質の形成が誘導されることが分かった。また、この反応は照射する光の波長に依存し、400 nmの照射では反応が起きないことも分かった。ブラックライトと400 nmの光では、前者の方が高いフォトンエネルギーを有するため、歯髄反応を引き起こしたと考えられる。今後は、この反応のメカニズムの解明に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた動物実験を実施し、マイクロCT分析、画像解析、組織学的分析まで終了することができた。一部、計画していた動物実験が未達となっているが、これまでに得られた結果は研究の仮説をサポートするものであり、今後の研究も計画通り進めることができる。従って、順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、ブラックライト照射によってラットの歯髄腔で第三象牙質の形成が促進されることを実証することができた。また、この反応は照射する光の波長に依存していることまでわかってきている。今後は、歯髄由来の細胞を用いてin vitroでのブラックライト照射実験などを行い、メカニズムの解明に取り組む。より効率的に研究を推進するために、研究分担者との連携を緊密にし、各自の役割分担の明確化と定期的な報告会を実施する。
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Causes of Carryover |
東北大学大学院医学系研究科附属動物実験施設の改修工事などの影響もあって、当初計画していた一部の動物実験が未実施となり、それに伴う費用に未使用分が生じた。すでに施設の改修工事は終了しており、この未実施の実験については未使用分の研究費を用いて次年度に実施する予定である。
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