2022 Fiscal Year Research-status Report
老齢性テストステロン低下とAGE上昇に着目した糖尿病関連歯周炎の治療戦略
Project/Area Number |
22K09965
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
成石 浩司 徳島大学, 病院, 講師 (00346446)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 泰史 徳島大学, 病院, 助教 (10823833)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 糖尿病関連歯周炎 / 超高齢者 / 歯周病 / 歯肉線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国は超高齢社会であり糖尿病患者の老齢化が著しいが,老齢化と糖尿病関連歯周炎の病態的関連性は不明である。そこで本研究の目的は,老齢・歯周病・糖尿病の3因子の病態的関連性を基礎・臨床の両面から検討することとした。 まず,臨床研究として老齢と歯周病の関連性を横断的に評価した。対象は当院を受診した高齢患者16名(平均年齢:76±11.9歳,内12名は心原性脳梗塞を発症)とし,その口腔内診査および全身状態を調べた。得られた口腔内診査の結果として,残存歯数:17.2±8.9本,最深ポケット深さ:5.1±1.9mm,喪失歯数:14.8±8.9本,CPITNスコア:2.9±1.2,動揺歯の割合:9.6±12.2%,4mm以上のポケットの割合:22.4±22.7%,BOP陽性率:33.7±20.4%であった。重度歯周炎患者の割合は,25.0%であった。また,半数以上の患者の歯周ポケット内からPorphyromonas gingivalisおよびTannerella forsythiaを検出した(定量PCR法,健常対照者群からは未検出)。以上のことから,超高齢者の口腔内状態は,とりわけ残存歯の歯周炎症の状態は予想よりも重症でなく,このことは喪失歯が多く“後歯周病患者”の様相を呈していることが分かった。 また,基礎研究として,カンジダ菌が多く棲息する高齢患者の口腔内を想定して,カンジダ菌の産生物質として知られるカンジダリシンの歯肉線維芽細胞への影響を調べたところ,カンジダリシンはMAPK系およびNF-kB系を介して歯肉線維芽細胞のインターロイキン6の産生を有意に亢進することが分かった。このことはカンジダ菌も歯周炎症を誘発する因子である可能性を示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢者因子としてホルモン系を想定していたが,テストステロンによる細胞反応が弱かった。そこで超高齢者の口腔内にカンジダが多く棲息することを踏まえて,カンジダ菌由来のカンジダリシンの動態に着目し,その有益な細胞作用を見出すことができたので,おおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
臨床研究におけるサンプルサイズの拡充により一層努める。テストステロン以外の老齢マーカーの抽出を目指す。 動物実験において,器具・材料の整備点検も含めて,再現性のある老齢+歯周病のラット動物実験モデルの確立を目指す。 基礎培養研究において,歯肉線維芽細胞のテストステロン受容体の有無を再確認する。
|
Causes of Carryover |
本年度の研究に必要な動物実験モデルの構築にかかる費用が予定より少額で賄えたため,次年度使用額が生じた。 (使用計画)予定していた動物実験モデルの構築方法をさらに改善するため,動物実験器具・滅菌関連器材が多く必要になると予想されるため,次年度研究費(物品費)と合わせて使用する計画である。
|
Research Products
(2 results)