2022 Fiscal Year Research-status Report
乳酸菌由来細胞外小胞を用いた歯周病治療戦略ーM1/M2マクロファージに着目してー
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22K09966
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
細川 育子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (50707908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 正 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (00217770)
細川 義隆 徳島大学, 病院, 講師 (90346601)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 歯周炎 / 細胞外小胞 / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は、歯周病原性細菌により惹起される慢性炎症性疾患であり、宿主の過剰な免疫応答が歯周組織破壊に関与していることが明らかとされている。近年、細胞外小胞が様々な生体応答に関与していることが明らかとなってきているが、有益な免疫調節作用が認められている乳酸菌の細胞外小胞の歯周組織構成細胞あるいは免疫担当細胞であるマクロファージに対する影響は明らかとされていない。 本研究ではまず、乳酸菌由来細胞外小胞の持つ抗炎症作用に着目し、歯周組織構成細胞の一つであるヒト口腔上皮細胞(TR146)のケモカイン産生に与える影響について検討を行った。その結果、炎症性サイトカインの一つであるTNF-alpha刺激が誘導したTR146のTh1細胞浸潤に関与するケモカインであるCXCL10およびTh17細胞浸潤に関与するケモカインであるCCL20産生は乳酸菌由来細胞外小胞により抑制された。このことから、乳酸菌由来細胞外小胞には、口腔上皮細胞のケモカイン産生を抑制することで歯周炎において抗炎症作用を発揮する可能性があることが示唆された。 また、マクロファージの分極化(M1/M2マクロファージ)に対する乳酸菌由来細胞外小胞の影響について検討を行うために、現在ヒト単球由来細胞株THP1細胞を用いて、IFN-γ/LPSあるいはIL-4/IL-13を用いたマクロファージM1/M2分化モデルを確立するため、解析を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに乳酸菌由来細胞外小胞が歯周組織構成細胞の一つであるヒト口腔上皮細胞のケモカイン(CXCL10およびCCL20)産生を抑制することを明らかとした。現在は、細胞内シグナル伝達経路の活性化に与える影響について解析を進めているところである。 また、ヒト単球由来細胞株THP1細胞を用いて、IFN-γ/LPSあるいはIL-4/IL-13を用いたマクロファージM1/M2分化モデルを確立しているところであり、乳酸菌由来細胞外小胞の影響については解析を始められていない。故に、本研究課題はやや遅れていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、歯周組織構成細胞の一つであるヒト口腔上皮細胞に対して乳酸菌由来細胞外小胞に抗炎症作用があることを明らかとしている。さらにヒト口腔上皮細胞のケモカイン産生に関与するシグナル伝達経路の活性化に乳酸菌由来細胞外小胞が影響を与えるか否かに関してWestern Blot法を用いて検討を加える。 また、ヒト単球由来細胞株THP1細胞を用いて、IFN-γ/LPSあるいはIL-4/IL-13を用いたマクロファージM1/M2分化モデルを確立し、乳酸菌由来細胞外小胞の影響をフローサイトメトリー法やELISA法にて検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
参加した学会がハイブリッド開催で参加したため旅費がかからなかったこと、購入物品が大きくディスカウントされていたこと、すでにストックしていた試薬があり購入の必要がなくなったことが次年度使用額が生じた理由だと考えられる。 次年度は積極的に学会に参加し実験結果を報告することにより旅費として研究費を使用する予定である。また、実験の進歩状況により、試薬の購入を予定している。
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Research Products
(4 results)