2022 Fiscal Year Research-status Report
歯根膜細胞スフェロイドの幹細胞性・骨分化能亢進のメカニズム解明
Project/Area Number |
22K09970
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
臼井 通彦 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (10453630)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | スフェロイド / 歯根膜幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯根膜幹細胞をスフェロイド培養すると、単層培養に比較して、幹細胞関連因子であるOCT4、NANOGの遺伝子発現、並びに蛋白発現が増強している一方で、スフェロイド培養した歯根膜細胞が単層培養した歯根膜細胞に比較して、形成される石灰化結節量を増加させ、さらに、マウス頭蓋骨欠損モデルに移植すると、新生骨量を増加させる。本研究の目的は、歯根膜幹細胞スフェロイドにおける「幹細胞性の上昇」「骨分化能の上昇」の相反する事象のメカニズムを明らかにすることである。 以前、我々は、歯根膜幹細胞スフェロイドに単層培養歯根膜幹細胞に比較して、転写因子であるNR4A2が高く発現していることを明らかにした。歯根膜幹細胞スフェロイドにおけるNR4A2遺伝子のノックダウンアッセイと過剰発現アッセイを行った。NR4A2遺伝子の過剰発現は歯根膜幹細胞スフェロイドにおける幹細胞マーカーであるOCT4、NANOGの遺伝子発現に影響を与えなかった。しかし、NR4A2のsiRNAによるノックダウンではOCT4、NANOGの遺伝子発現を有意に抑制した。すなわち、NR4A2が歯根幹細胞スフェロイドに幹細胞性の維持に関わっている可能性が示唆された。 我々は、今まで歯根膜幹細胞スフェロイド(直径200 um)を作製し、in vitroでの機能解析やin vivoでの移植実験に用いてきた。しかし、サイズの大きいものを用いた方が、より効率よくRNA抽出を行うことができる。そこで、より大きな歯根膜幹細胞スフェロイドを作製できるチップの作製を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
より大きな歯根膜幹細胞スフェロイドを作製できるチップの作製に予定していたより多くの時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、以下の実験を予定している。 1.レーザーマイクロダイセクションによるRNA抽出:スフェロイドの球状の細胞凝集塊であり、その中心付近と外周部分では、細胞の特性に変化が生じていると考えられる。そこで、レーザーマイクロダイセクションによって、中心部分と外周部分を選別し、RNAを抽出する。 2.次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析:スフェロイドの中心部分と外周部分から抽出したRNAとコントロールとして単層培養した歯根膜幹細胞から抽出したRNAを用いて、次世代シーケンサーによるトランスクリプトーム解析を行う。 3.同定した遺伝子の機能解析:同定した遺伝子の機能解析を単層歯根膜幹細胞にて行う。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れ、レーザーマイクロダイセクションを行うことができなかった。令和5年度にレーザーマイクロダイセクションを行ための研究費とする。
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