2022 Fiscal Year Research-status Report
低Ca摂取による顎骨骨粗鬆症が歯周病を進行させるメカニズムの解明
Project/Area Number |
22K09977
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荘司 佳奈子 東北大学, 歯学研究科, 助教 (90302158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向阪 幸彦 東北大学, 大学病院, 医員 (10760457)
山田 聡 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40359849)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 低カルシウム / 歯周組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会が進む我が国では、高齢者のQOLを維持するために、口腔機能の維持が不可欠である。すなわち、高齢者では、嚥下機能や味覚・嗅覚が低下しており、さらに歯周病による歯の喪失で口腔機能が低下すると、食事摂取量が減少し栄養不良になりやすく、サルコペニアやフレイルの発症に至る場合も多い。本研究では、歯槽骨にとって必要不可欠な栄養素であるカルシウムに着目し、”カルシウム摂取不足の高齢者が骨粗鬆症に罹患して、歯周病による歯の喪失に至る”ことを想定し、そのメカニズムを遺伝子レベルで明らかにして、将来的に歯周治療につなげることを最終目標とした。 研究初年の今年度は13週齢のC57BL/6マウスに、AIN精製飼料基礎配合(米国国立栄養研究所で発表されたマウス・ラットを用いた栄養研究のため標準精製飼料)及び、この配合のうちカルシウム成分を通常の6割まで減少させた配合飼料(低カルシウム飼料)の2種類を与え始め、体重変化及び飼料の摂取量を観察した。低カルシウム飼料を摂取したマウスは、標準精製飼料を摂取したマウスと比較して、実験開始からの体重の増加率が低い傾向が認められた。また、飼料の摂取量は、標準精製飼料摂取のマウスがほぼ変化ない状態で推移するのに対し、低カルシウム飼料を摂取したマウスでは、摂取量が少ない傾向が認められた。現在、高週齢とされる15週齢以降のマウスを用いて、得られた実験結果を血清中の骨代謝マーカーの経時的変化と照合させることで、低カルシウム摂取が全身の骨代謝へ与える影響について検討するための準備を行なっているところである
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
動物実験施設の改築・移転に伴い、長く継続した期間での動物実験が可能になるまでに、相当の時間がかかってしまった。さらに、マウスの実験的歯周炎の惹起および採血の手技の習得、AIN精製飼料基礎配合の輸入にも予想外の時間がかかってしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、低カルシウム飼料の摂取が全身の骨に与える影響について血清中の骨代謝マーカー(骨形成マーカーと骨吸収マーカー)の発現の経時的変化についてELISAで検索する。この状態にさらに実験的歯周炎を惹起させた場合に、血清中の骨代謝マーカーの発現が変化するかどうかを検索する。
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Causes of Carryover |
今年度は、動物実験施設の移設・整備に伴い動物実験の開始自体が遅れてしまった。そのため、初年度の実験動物や試薬類の購入額が予定を大きく下回った。次年度は、これらの予算を、実験動物・試薬・キットなどの必要物品の購入に用いて、実験を進めていく。
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