2022 Fiscal Year Research-status Report
歯根膜コラーゲンのプロテオスタシス制御に基づく新規歯周治療法の開発
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22K09979
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 友美 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (00807589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 陽一郎 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (20598396)
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90524984)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プロテオスタシス / コラーゲン / フォールディング / オートファジー / 歯周病 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯根膜は細胞外基質タンパクを大量に産生しており、とりわけコラーゲンの生合成が活発な組織である。細胞内のタンパク恒常性を維持するためには、その合成と分解のみならず、立体構造の安定化(フォールディング)による量や質の管理が不可欠である。加齢により環境ストレスが蓄積した歯根膜では、分解系のひとつであるオートファジーやフォールディングの異常が推察されるが、その詳細は不明である。 本研究では、コラーゲン特異的なシャペロン分子(HSP47)に着目し、加齢が歯根膜細胞のコラーゲンタンパクのプロテオスタシスに及ぼす影響を検討した。申請者はこれまでの研究により、歯根膜におけるオートファジーの異常がコラーゲン代謝に影響を及ぼし、硬組織形成に関係することを報告している。本研究において、2022年度は、ヒト歯根膜細胞のHSPsならびにHSP47活性が成熟コラーゲンの産生と変性コラーゲンの蓄積に及ぼす影響を、各種のHSPsの誘導剤あるいは阻害剤、HSP47のsiRNAを用いて検討した。HSPs活性がヒト歯根膜細胞の成熟コラーゲンの産生に及ぼす影響を検討するために、ELISA法を用いた解析を行った。また、HSPs活性の低下がヒト歯根膜細胞のコラーゲン代謝に及ぼす影響を検討するために、蛍光プローブCollagen Hybridizing Peptide(CHP)を用いて変性コラーゲンを標識し、共焦点顕微鏡観察で評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高週齢マウスを用いた歯周組織の組織観察により、セメント質の肥厚をともなう歯根膜腔の狭小化がみられた。そして、Elastica van Gieson染色、Picrosirius red染色により、歯根膜の弾性線維の減少が観察された。興味深いことに、免疫組織染色では歯根膜のtype I collagenの発現に大きな変化はみられない一方、CHP標識により変性コラーゲンの増加が観察された。そして、歯根膜ならびに歯髄組織のHSP47の有意な減少が観察された。実際に、in vitroで培養した老化ヒト歯根膜細胞(HPDL)のHSP47の発現は減少し、それにともなって成熟コラーゲンの産性低下がみられた。 HSPs誘導剤であるGeranylgeranylacetone(GGA)をHPDLに添加し培養を行うと、細胞外のtype I colagenの発現量が増加した。一方、HSPs阻害剤であるVER-155008や、HSP47特異的阻害剤であるCol003の添加によっては、細胞外のtype I collagenの発現量は減少した。成熟コラーゲン量を定量的に評価するため、ELISA法により検討を行ったところ、GGA処理により、老化HPDLのtype I collagen産生量は増加することを明らかとした。また、CHPを用いた変性コラーゲンの標識により、老化HPDLにおける変性コラーゲンの増加が検出された。
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Strategy for Future Research Activity |
老化HPDLにLPS刺激ならびにメカニカルストレス負荷を与え、変性コラーゲンの細胞局在をCHPを用いて観察し、老化HPDLのコラーゲン産生能の変化をPCR法、ELISA法により解析する。HSPs誘導剤あるいは阻害剤添加がHPDLの小胞体ストレス応答に与える影響を、qPCR法とウェスタンブロッティング法を用いて検討する。同時に、HSPs誘導剤あるいは阻害剤添加がHPDLのオートファジー活性に与える影響をウェスタンブロッティング法ならびに透過型電子顕微鏡を用いて検討する。また、オートファジー誘導剤の添加が変性コラーゲン蓄積と成熟コラーゲン産生に与える影響を、CHPを用いた解析、qPCR法、ELISA法により検討する。さらにsiRNAを用いることで、より特異的な生理作用の解析を行う。
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Causes of Carryover |
2022年度は一部の研究が当初の計画通り進行しなかった。よって2023年度には、2022年度に購入・使用予定であった実験試薬や物品を購入し、当初予定していた研究を実施する予定である。また、研究成果の発表と情報収集のために学会参加を予定していたが、オンライン参加としたため、旅費の支出が0となった。2023年度は現地開催の学会に参加し、情報収集ならびに研究成果の報告を行う予定である。
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Research Products
(1 results)