2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K09996
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
永田 有希 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 助教 (50405841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 毅顕 東京医科歯科大学, 統合教育機構, 特任講師 (10821168)
田中 敏博 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (50292850)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 侵襲性歯周炎 / 免疫応答 / NOD2 / 口腔内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
侵襲性歯周炎の原因遺伝子NOD2の5種類の変異型を293T細胞に導入し、細菌の構成因子であるlipopolysaccharide (LPS)、muramyl dipeptide (MDP)、慢性歯周炎の原因菌として知られるP. gingivalis (P.g.) および侵襲性歯周炎患者で高頻度に観察されるA. actinomycetemcomitans (A.a.) の細胞破砕液に対する免疫応答を確認した。 その結果、MDPとP.g.菌、A.a.菌破砕液に対して何種類かのNOD2変異型で免疫応答の亢進が観察された。 NOD2変異型の変異の位置が、すべてNOD2ホモダイマー、NOD2の結合パートナーであるRIP2Kとのヘテロダイマーおよび、リガンドであるMDPとの結合ドメイン上にあることから、NOD2変異型による免疫亢進がNOD2結合パートナータンパク質との親和性の変化によるものではないかと考え、Native-pageおよびBlue Native-page法によるダイマー/ポリマー解析に着手した。変異型によるダイマー/ポリマー形成頻度に違いがありそうな所見を得られてはいるものの、説得力のあるデータを取得できていない。そこでドライ解析の専門家に相談しながら、AIによる結合親和性予測アルゴリズムの使用を試みている。 また、免疫細胞を用いた実験を行うため、ゲノム編集による変異型の取得に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでNOD2過剰発現細胞株の取得を試みていたが、免疫細胞におけるNOD2の過剰発現が細胞死を招く傾向がみられ、進捗が遅れていた。そのため、これまでトライしてきたレンチウイルスを用いた過剰発現系からlow copy promoterによるNOD2発現系の構築と、ゲノム編集による変異導入へと方針を変更した。 現状ではやや遅れているものの、low copy promoterとして知られるUBCを用いたNOD2変異型発現細胞をTHP-1を用いて構築中であり、一部の変異型の取得に成功した。ゲノム編集については試薬類を購入し、現在条件検討中である。Control kitを使用した検証の結果、THP-1細胞株では2割程度の成功率で変異導入株を取得できそうな結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
NOD2変異型の結合パートナーとの親和性の変化を明らかにするため、ウェットとドライの両方向からの解析を進めていく。ウェットでは、NOD2変異型を導入した細胞のWhole cell lysateおよびNOD2抗体で免疫沈降したサンプルを用いてNative-PageおよびBlue Native-Pageを実施していく。ドライ解析は専門家に相談中であるが、ウェブベースでも実施可能なアルゴリズムがいくつかあるので複数のアルゴリズムによる検証を進めていきたい。 これまでの実験結果から、免疫細胞におけるNOD2の過剰発現が細胞死をもたらしている可能性が示唆されているため、NOD2変異型による細胞死やアポトーシスへの関与についても検証していく。NOD2がアポトーシスに関与している可能性を示唆する論文と、否定する論文が複数報告されているため、本研究でもNOD2のアポトーシス制御の可能性と、変異型によるアポトーシス誘導活性の有無や変化について検証していきたい。 また、免疫細胞におけるNOD2変異型のゲノム編集が成功次第、マクロファージおよび破骨細胞への分化能と活性についての検証も進めていく。
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Causes of Carryover |
実験結果を踏まえて次の実験内容の調整を行うため、本当に必要な試薬類の選定を行っていた。そのため一部予算が次年度持ち越しとなった。
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