2023 Fiscal Year Research-status Report
Effects of AGEs on the relationship of exacerbation of periodontal disease and impairment of gingival epithelial barrier function.
Project/Area Number |
22K10007
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 直人 日本大学, 歯学部, 教授 (10226532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邉 奈津子 日本大学, 歯学部, 准教授 (10409097)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 終末糖化産物 / 歯周病 / 歯肉バリア機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト歯肉上皮癌由来細胞株Ca9-22細胞を用いて,CLDN1, 3, 4, 5, 7,の発現に及ぼすAGEsの影響を調べた。その結果,AGEsは培養3日目において,Ca9-22細胞のCLDN4および7の遺伝子発現とタンパク発現を低下させた。しかしながら,AGEsは,その他のCLDNs遺伝子発現には影響を及ぼさなかった。さらに,AGEsがCLDN4および7発現低下に及ぼす影響の詳細を調べるために,AGEsの受容体RAGEのantagonist FPS-ZM1を用いて,AGEs刺激Ca9-22細胞のCLDN4および7の遺伝子発現を調べた結果,FPS-ZM1は,AGEs刺激で低下したCLDN4および7の遺伝子発現をコントロールレベルまで回復させた。また,CLDNsの下流に存在するタイトジャンクションネットワークを形成するZO-2およびZO-3の遺伝子発現に及ぼすAGEsの影響を調べた。その結果,FPS-ZM1は,AGEs刺激で低下したZO-3遺伝子発現をコントロールレベルまで回復させた一方,ZO-2の遺伝子発現には影響を及ぼさなかった。これらの結果は,AGEsはRAGEを介してCLDN4,7およびZO-3の遺伝子発現を低下させることが示唆された。次に,CLDNsは細胞膜上に存在するタンパクであることから,AGEs刺激がCLDN7の細胞での局在に及ぼす影響を免疫蛍光染色によって調べた。培養3日目にAGEsは,無刺激群と比較して,CLDN7の細胞膜上の局在を減少させた一方,FPS-ZM1は,AGEsによるCLDN7の細胞膜上の局在の減少を回復した。最後に,細胞のバリア機能に及ぼすAGEsの影響を経上皮電気抵抗(TEER)測定装置で調べた。その結果,AGEsはRAGEを介して,TEER値を有意に減少させた一方FPS-ZM1はAGEsの影響を抑制した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した令和5年の研究計画の以下の5項目について実験を実施した。 ①歯肉上皮細胞には歯肉上皮癌由来株細胞(Ca9-22)を用いる。②AGEs の作製:AGEs の作製は先行研究に準じて行う。すなわち,10 g ウシ血清アルブミンと 1.8g DL-グリセルアルデヒドに0.4g ジエチレントリアミンペンタメトリック酸を200mL の生理食塩水と混合し,37℃で7 日間浸透させて作製する。③AGEs刺激:Ca9-22 がコンフルエントになった時点で,0,50,100 および200 mg/mL 濃度のAGEsで24,48 時間刺激する。④real-timePCR:細胞間接着に関与するClaudin,Occludin およびJAM-A の遺伝子発現に及ぼすAGEs の影響を調べる⑤TEER とFITC-dextran を用いた透過実験を行い,歯肉上皮バリア破壊への影響を直接調べる。令和5年度は⑤までの実験が終了している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度までに,AGEsはCa9-22細胞のCLDN7、ZO-3及びJAM-Aの発現とTEER値を低下させることが示された。今後は,これらの発現を制御する細胞伝達機構を調べるためにMAPKのリン酸化の発現をWestern Blotting法で調べる予定である。さらに、上記に記載した①-⑤の実験結果をまとめ論文を作成し欧文学術雑誌に投稿予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては当該年度に必要な実験試薬や器具を購入していたが,効率よく必要な試薬をより多く手に入れるために物品購入時にキャンペーンなどを利用し購入し,計画的に研究費を使用しようと心がけていたため費用が抑えられたと考えられる。次年度繰越額と令和6年度助成金を合わせて引き続き当該研究の為の研究試薬および器具の購入を主とし,加えて研究成果を学会発表する為の旅費及び論文投稿料として使用したいと考えている。
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