2022 Fiscal Year Research-status Report
口腔粘膜上皮細胞と線維芽細胞から成る2層性自家培養口腔粘膜の開発
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22K10016
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 夕子 (原夕子) 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80827676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 潤 早稲田大学, ナノ・ライフ創新研究機構, 客員上級研究員(研究院客員教授) (60386737) [Withdrawn]
泉 健次 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80242436)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自家培養口腔粘膜 / 口腔粘膜上皮細胞 / 口腔粘膜線維芽細胞 / コラーゲン製足場材 / フラクタル構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
・現口腔粘膜モデルを進化させるための工夫点と改良点に別個に取り組む。まず、マイクロポーラス(フラクタル)構造を付与するための“多孔質”PDMS製マイクロパターン鋳型を作製する。その後、口腔線維芽細胞と魚うろこコラーゲンゲルによる粘膜下層を作製する条件を検討する。 ・2層性培養口腔粘膜の作製と中間評価ならびにフィードバックを行う。本実験で作製した培養口腔粘膜の組織学的評価ならびに機能性評価を行う。 とくに、基底膜の有無については組織学的と免疫組織化学的検討、機能性評価として厚労省が再生医療製品の出荷基準として求めている力学的適合性試験を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題では、高機能化した培養口腔粘膜を作製するために、線維芽細胞を人獣共通感染症リスクがない、魚うろこコラーゲン足場材に組み込んだうえ、足場材にフラクタル構造を付与して、生物学的な基底膜構造を得ることを目指して取り組んでいる。今年度はまず、ハイドロコロイド状の魚うろこコラーゲンゲルに線維芽細胞を埋め込んで足場材の作製を試みた。しかし、ゲルの収縮があまりにも著明で、足場材としてのサイズを保つことができなかったので、ここで線維芽細胞を組み込むことを一旦中止し、無細胞性の魚うろこコラーゲン足場材をベースとしてフラクタル構造の付与に注力することとした。PDMSを重合する際に水を加えることで、予想通り、無細胞性コラーゲン足場材にフラクタル構造を付与することに成功した。その後、フラクタル構造をもった足場材に口腔粘膜上皮細胞を播種し、培養口腔粘膜を作製した。
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Strategy for Future Research Activity |
・滅菌したマイクロポーラス付きPDMS鋳型から口腔粘膜下層を作成し(図7)、7日間培養した後、ヒト臨床応用プロトコールに準じヒト口腔粘膜角化細胞を播種、11日間培養し、合計18日間で培養口腔粘膜を作製する。きちんと上皮は形成されるが、培養中に上皮が剥離、収縮することが目立つため、フラクタル構造にさらに工夫を加えることが必要と考えている。 ・粘膜作製中に中間評価として、角化細胞播種後4日目(培養トータル11日目)と最終日(18日目)に、断層撮影顕微鏡Cell3 Imager Estier (SCREEN Holdings Co., Ltd.)を使用し、マイクロポーラス(フラクタル)構造へ口腔粘膜角化細胞が侵入し“嵌合”状態が生じているか、非侵襲的に画像評価した上で、組織標本を作製し、基底膜構造の有無を免疫染色で確認する。加えて、口腔線維芽細胞をシート状に作製し、コラーゲン足場材と合体させることを試み、パラクライン効果で上皮細胞による基底膜構造再生効果を生み出したい。
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