2022 Fiscal Year Research-status Report
レチノイン酸による骨の形成・維持の制御メカニズムの解明と臨床応用への発展
Project/Area Number |
22K10017
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
内部 健太 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (20584618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宿南 知佐 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (60303905)
味八木 茂 広島大学, 病院(医), 講師 (10392490)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | レチノイン酸 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、いまだ明らかにされていないレチノイン酸と骨の形成・維持の関係について、個体から遺伝子レベルでの解析を行い、骨組織の形成におけるレチノイン酸シグナルによる未知の制御メカニズムを解明することを目的としている。また、これを基盤として骨粗鬆症や骨折といった関連疾患の新たな治療法への応用も検討することも計画している。 本年度は、当初の計画通り、マウスのサンプルを用いて骨関連細胞・組織におけるレチノイン酸シグナル関連因子の発現の確認を行った。具体的には、8週齢マウスの後肢をホルマリン固定後に脛骨の長軸に沿ったパラフィン切片を作製し、Rara、Rarb、Rargといったレチノイン酸受容体を中心として、レチノイン酸シグナルに関係する主要因子の発現パターンを免疫染色、in situハイブリダイゼーションにて検討を行った。当初予定していたRARE-Lucレポーターマウスを用いた発現解析では、レポーターの発現が弱く検出が難しいことが判明したが、免疫染色等の代替実験で補完できた。また、骨芽細胞様細胞MC3T3-E1を用いてin vitroでの細胞分化に伴う主要遺伝子の発現の変化をqPCRによって検証した。さらに、未分化な前駆細胞から骨芽細胞および破骨細胞への分化誘導を行い、これらの過程におけるレチノイン酸受容体アゴニストやアンタゴニストが与える影響の検討を開始した。これは次年度に予定しているRNAシークエンスのサンプル準備のための予備実験を兼ねている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた実験は大きな遅延なく進んでおり、研究計画全体としての進捗状況もおおむね順調に進展している。一部結果の再検討が必要なものがあるが、次年度の実験計画を圧迫するほどではなく、他の実験と並行して行えると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はRNAシークエンスを用いた包括的な遺伝子発現解析を行い、骨関連細胞におけるレチノイン酸シグナルの標的分子・シグナルの探索を行う予定としている。また、最終年度に予定しているアゴニスト、アンタゴニストをマウスへ投与する実験の予備実験を開始する。
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Causes of Carryover |
本年度に行った実験がすでに所有していた消耗品の使用で多く賄えたため、消耗品の購入が当初の予定よりも少なかった。また、天候が理由で学会発表のための出張期間が予定より短くなったことから、旅費も当初の予定よりも少なくなった。次年度にはRNAシークエンスによる遺伝子発現解析を行う予定としており、この実験および結果解析に多くの出費が見込まれる。本年度に生じた次年度使用額をこのRNAシークエンスの費用にあてることで、より正確で詳細な解析結果を得ることが期待できる。
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Research Products
(2 results)