2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a CD73(+)MSCs-integrated functional periodontitis and peri-implantitis antimicrobial reconstruction device
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22K10021
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森川 暁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (00424169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 智也 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10624637)
宮下 英高 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20445290)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 間葉系間質細胞 / 間葉系幹細胞誘導システム / PDGFRa / CD105 / CD90 / 骨補填材 / 抗菌性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は歯周炎や口腔インプラント周囲炎に対し、「自家骨に匹敵する骨誘導能と抗菌機能を兼ね備えた人工骨」と「バイオフィルム抗菌機能と歯肉軟組織結合性インプラント」を開発し、疾患モデルで治療効果を評価し、臨床研究へのProof of Conceptを獲得することである。生体内における間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cells: MSCs)の役割は胎生期、そして生後の骨・軟骨・脂肪、その他間葉系組織細胞の補充と、組織リモデリングである。しかし、実際にこの「組織リモデリングや創傷治癒を担っているMSCsを、混ざりものなく、生きた状態」で分離することは、特定の細胞表面マーカーで分離してくること以外の方法は現時点では存在しない。現在の主流である組織培養分離法で集められた間質細胞集団に含まれる「組織リモデリングを担う、本当のMSCs」は非常にわずかであり、PDGFRαやCD271、Leptin receptorなどの指標なくして、生体内におけるMSCsを評価すること不可能である。本研究課題では、内在性の間葉系幹細胞を活性化させ、組織欠損部に集積あるいは欠損部位に遊走させる再生材料の開発を進めており、抗菌作用と自家骨置換能、そして骨誘導能を有する新しい骨再生材料の開発とラット顎骨欠損モデルへの応用を検証している。これまでの先行研究にて有用と考えられていた顎骨欠損モデルに対して、材料を移植しないモデルのビラヌエバボーン染色を行った結果、予想に反して十分な骨再生を確認することができた。既報のモデルによる顎骨欠損は、骨補填材料の形状として考えられる顆粒、ペースト、膜状構造体など、様々な形態の材料に対する定量的な評価が可能であるとされていた。しかし私達の実験結果では何も移植しない、すなわちコントロールの状況でも組織学的に骨の再生が認められたことから、間葉系幹細胞遊走体+骨補填材料の評価系としてはふさわしくないという結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在は、開発材料および内在性間葉系幹細胞遊走体の有用性を顎骨で評価するための新たなモデル作製に取り組んでいる。これまでは頬側からのみのアプローチであったが、舌側皮質骨まで骨欠損を拡大する必要があると考えており、定量評価ができるような頬側―舌側皮質骨欠損貫通モデルを開発中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の「CD73(+)MSCs集積機能型」デバイスの開発として、ある材料を皮下に埋め込んだ後、集積してくる細胞集団と細胞外マトリックスの検証を行っている。これまでの研究において、生体内に異物を埋入すると幹細胞が集積してくるという知見が以前より報告されていた。しかしながら、その集積してくる細胞が造血幹細胞であるのか、間葉系幹細胞であるのか、または別の細胞集団であるのかは不明であり、またそれを解析する方法も存在しなかった。代表者らのこれまでの研究成果からマウスではPDGFRα+、ヒトではCD271やCD90を間葉系幹細胞マーカーとして同定しているが、本研究課題で注目しているCD73も生体内間葉系幹細胞マーカーと機能することがわかっている。これらの知見から、マウスおよびラットにある材料を埋入し、そこに遊走してくる細胞集団を解析し、内在性の間葉系幹細胞や造血幹細胞が流入してくかどうかを検証中である。現在CD73のみならず、それ以外の間葉系幹細胞マーカーを指標に、間葉系幹細胞誘導システムの開発および検証実験を進めている。
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Causes of Carryover |
これまでの先行研究にて有用と考えられていた顎骨欠損モデルに対して、安定的な骨欠損定量化モデルとして、その作製と再現性の確保のため、術式を確立するための動物実験を行ってきた。モデル作製の再現性が確立できたところで、材料を移植しないモデルのビラヌエバボーン染色を行った結果、予想に反して十分な骨再生を確認することができてしまった。既報のモデルによる顎骨欠損は、骨補填材料の形状として考えられる顆粒、ペースト、膜状構造体など、様々な形態の材料に対する定量的な評価が可能であるとされていた。しかし私達の実験結果ではコントロールの状況でも組織学的に骨の再生が認められてしまったことから、本研究課題の評価系としては適切ではないと判断し、現在新しいモデルの作製に取り組んでいる。具体的には頬側からのみのアプローチであったが、舌側皮質骨まで骨欠損を拡大する必要があると考えており、定量評価ができるような頬側―舌側皮質骨欠損貫通モデルを開発中である。顎骨欠損モデルの治癒傾向が予想に反して高かったため、予定していた新規開発材料の移植とその評価が計画どおりに進まなかったため、次年度使用額が生じた。現在は研究協力者も増やして新規のモデル作製と「内在性MSCs集積機能型」デバイスの開発を同時に進めており、共同研究により提供を受ける抗菌性骨補填材とともに、骨再生の評価を行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)