2022 Fiscal Year Research-status Report
インプラント周囲細菌叢を規定する危険因子を探る:疾患の発症予測モデル構築に向けて
Project/Area Number |
22K10030
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
下岸 将博 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (60747913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 孝康 日本大学, 歯学部, 講師 (70725514)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯科インプラント / 細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究では、歯科インプラント治療を受けた患者のインプラント周囲に付着しているプラークからどのような細菌種が生息しているかを分析し、同時にその患者の生活習慣や持病といった個々の患者の状態を調査し、インプラント周囲に形成される多種の細菌の集合体である細菌叢がどのようなパラメータによって左右されるかを解析することにより、どのような生活習慣や持病を持っているとインプラント周囲に炎症が生じやすいか、病気へのかかりやすさ等といったリスク評価を可能にすることを目的としている。 2022年度では、1年以上前にインプラント治療を受け、現在も口腔内で機能しているインプラントを有する患者を対象として、インプラント周囲溝より細菌叢検体を採取し、同時にインプラント周囲ポケットの深さ、プロービング時の出血や排膿の有無、患者の既往歴、喫煙歴、飲酒嗜好、口腔清掃状況(回数、器具、薬剤)などの情報を収集した。採取した細菌叢検体より細菌DNAを抽出、16S rRNA遺伝子領域ライブラリを調製し、高速シーケンサーにて塩基配列を取得し、細菌叢検体に存在する細菌種の推定を行った。結果、構成菌種の傾向に関してはインプラント周囲組織が健康であるものと周囲炎に罹患しているものとの間で有意差が認められた。また、歯周病の罹患既往や喫煙歴のある患者については周囲炎罹患群により近い細菌叢構成となっていることが示唆された。一方、角化粘膜の幅や糖尿病への罹患については明確な傾向を示さなかった。 2023年度は引き続き検体の収集を行い、細菌種の存在比率データを教師データとしてディープラーニングを適用し、インプラント周囲の健康状態に特有な細菌叢の構成を学習させ、病変ありと判別された患者が共通して有する疾患の治療歴や習癖、生活環境を多重比較解析によって特定することを目標としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常な状態にあるインプラント、および炎症の各段階にあるインプラントから細菌叢検体を回収する工程についてはおおむね順調に進行しているが、患者の口腔内環境を特徴付けると思われる全身疾患の内、罹患率がやや低いと思われるものについてはサンプル数の蓄積がやや難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き検体の収集を行い、細菌種の存在比率データを教師データとしてディープラーニングを適用するに必要なデータ量を確保する。
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Causes of Carryover |
細菌叢サンプルの抽出、塩基配列の特定作業においては数十サンプルを同時に処理する必要があり、試薬購入のタイミングが来年度にずれ込んだため。2023年度前半に試薬を購入し、解析を進める予定である。
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Research Products
(1 results)