2023 Fiscal Year Research-status Report
培養骨膜細胞の機能性移植基材としてのRGDペプチドおよびDBMの有効性解析
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22K10033
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
永田 昌毅 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (10242439)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | RGDペプチド / 脱灰骨基質 / 培養骨膜細胞 / 骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
移植材としての性能を確認するためにRGDペプチドおよび脱灰骨基質(DBM)をヌードラット頭頂部に直径7mmの骨欠損を形成し、直径9mm皿状ポリ乳酸シェルを被覆材として移植した。対象として脱たんぱく焼成ウシ骨顆粒を用いた。移植後1か月で頭頂骨移植領域の組織を採取し、非脱灰凍結切片を作成し、組織学的およびALP/TRAP酵素組織学的に観察した。 RGDペプチド群は部分的に骨形成が観られたが、移植床の骨から遠位の移植材中央部・頭頂骨側では骨形成が不良だった。DBM群では移植材の同化は良好でありおおむね全域に骨形成が観られた。いずれの群でも骨形成領域にはALPおよびTRAP陽性細胞が動員されており、細胞の伝導および骨芽細胞への分化が誘導されることが示唆された。一方のBiOss群では骨形成が移植床の近接部にわずかに観られるのみで、移植材のほぼ全域に骨伝導は確認されず、移植床の骨から離れた部位の組織にはALP/TRAP陽性細胞は全く誘導されていなかった。 以上の結果からDBMが骨伝導・誘導移植材として最も優れることが示された。 上記結果を踏まえて、DBMを移植基材とするヒト培養骨膜細胞移植を行った。結果において細胞の有無によって明らかな違いは見いだせず、本実験系ではDBMを細胞移植基材とすることの効果を示すことはできなかった。他の因子としてはヌードマウスによるヒト細胞の拒絶による効果の阻害の可能性も否定できない。しかし、DBMの細胞移植基材としての効果については、同化が迅速で安定しており、より広範囲の移植範囲に使用することを考慮した場合、細胞担体としての効果を見出される可能性が残されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞の移植基材を探す目的で本実験を実施し予定する移植材の組織親和性およぼび骨再生での効果を確認できている。加えて細胞との親和性および効果について知見が得られている。課題も見いだされており、令和6年度における研究推進方法の策定を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
DBMの細胞移植基材としての可能性について、免疫拒絶の可能性のない近交系マウスによる培養骨膜細胞の頭頂部移植の実験系を確立する。この実験系を使い、他の骨伝導移植基材である炭酸アパタイトなど、あるいはアテロコラーゲンなどの生体親和性材料について、細胞移植基材としての性能および作用機序を解析する。 液体状の材料がないためDBMの作用機序を培養実験で解析することができないため、移植後早期の移植領域組織の遺伝子発現を基にした組織形成過程の分子解析を行う。骨組織形成過程の骨芽細胞の誘導状態を比較する。 組織学的にはALP陽性細胞およびTRAP陽性細胞の動員、誘導過程の詳細を観察することによって、各移植材料の細胞基材あるいは骨伝導/誘導移植材料としての性能と作用機序の違いについてデータを蓄積する。
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Causes of Carryover |
令和5年度は実験の進捗が加速し、ヌードマウスの購入が予定より多く必要になった。そのため400000円の前倒し請求を行い、必要額を補填し2万円強の残額を生じたものの、研究の進捗を抑制することなく、研究を進めることができた。
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Research Products
(1 results)