2023 Fiscal Year Research-status Report
炭酸アパタイト骨補填材の高骨伝導性とパラクライン様効果の関係解明
Project/Area Number |
22K10037
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土谷 享 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90722710)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 炭酸アパタイト / 骨補填材 / パラクライン効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨と同じ無機組成である炭酸アパチアと骨補填材は、ハイドロキシアパタイト骨補填材、β型リン酸三カルシウム骨補填材、ウシ焼成骨補填材と比較して圧倒的な骨伝導性を示すが、その機序は十分に解明されていない。炭酸アパタイト骨補填材は骨と同様に破骨細胞に吸収される。その際に、各種イオンが乖離される。これらのイオン種がパラクライン様効果を発揮し、骨芽細胞が活性化される可能性が高い。本研究においては、炭酸アパタイト骨補填材から各種イオンが能動的に乖離されるように炭酸アパタイト骨補填材を修飾し、骨芽細胞の活性化に及ぼす影響を検討するとともに、骨伝導性および骨置換性に及ぼす影響を検討する。 令和5年度は炭酸カルシウムを被覆した炭酸アパタイトの調製条件の検討を行なった。r英和4年度は炭酸アパタイト顆粒を炭酸塩水溶液に浸漬したが炭酸カルシウムの被覆が認められなかったため、令和6年度はまず酸性硫酸塩水溶液に炭酸アパタイトを浸漬して硫酸カルシウム二水和物で被覆し、その後、炭酸塩水溶液中に浸漬することで炭酸カルシウムとすることを試みた。しかし、炭酸カルシウムに被覆する段階で炭酸アパタイトから硫酸カルシウムが剥離してしまった。そこで、硫酸カルシウム被覆炭酸アパタイトを加熱して表面の硫酸カルシウムを無水物とし、その後炭酸塩水溶液に浸漬した。その結果、硫酸カルシウムの剥離を抑制し、炭酸カルシウム被覆炭酸アパタイトを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は令和4年度では達成できなかった炭酸アパタイトへの炭酸カルシウム被覆を達成している。現在、実験動物への埋入を行っており、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は調製した顆粒の細胞レベルでのパラクライン効果の解明、および実験動物を用いた検討により骨形成能力、骨置換性を検討する。
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Causes of Carryover |
研究室にある薬品やガラス器具等を使用することで使用額を節約できた。また、細胞についてはこれまでの研究で用いたストックを用いたため新たな細胞を購入する必要がなかったため、それらの経費についても削減できている。一方で、令和6年度では実験動物を用いた検討を行うが、実験動物購入価格の高騰等により当初の予定よりも多くの予算が必要であることが想定されるため、節約できた研究経費については次年度の研究経費に充当する。このことにより、研究の質を落とすことなく精度の向上が期待できる。
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