2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of high translucent zirconia with sustained antibacterial activity by lanthanoide complexes
Project/Area Number |
22K10040
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
河野 博史 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (20507165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 悠紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (70755040)
菊地 聖史 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (50250791)
村原 貞昭 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (80404490)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高透光性ジルコニア / 持続的抗菌性 / ランタノイド錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高透光性ジルコニア表面に対するピリジニウム化合物の担持能(抗菌性獲得能)を評価し、持続的抗菌性を有する新しい歯科用ジルコニアを開発することである。 歯科用ジルコニアは、優れた生体親和性を持ち、機械的性質や審美性についての改良が重ねられてきたが、それ以外の性質については改良の余地がある。例えば、抗菌性が付与できれば、口腔衛生状態の改善が期待できる。そこで、ジルコニアの安定化元素としてランタノイドが必ず添加されていることに着目した。①ランタノイドイオンとピリジニウム化合物が錯体を形成すること、②高透光性ジルコニアはランタノイドの含有量が多いこと、③ピリジニウム化合物は抗菌分子として歯磨剤等の口腔ケア用品に添加されていることから、本研究は、高透光性ジルコニア表面でのピリジニウム化合物錯体の担持能を評価し、これを応用して持続的に抗菌性を示す新しいジルコニアを開発する。 抗菌成分として市販の口腔ケア用品に広く用いられている塩化セチルピリジニウム(CPC)と塩化ベンザルコニウム(BKC)について、単斜晶および正方晶ジルコニア表面への吸着性を調べた。 XRDの結果からZrO2は単斜晶、Y-TZPは正方晶であることが確認された。また、BETとCHN元素分析の結果から、ZrO2にCが有意に吸着することやY-TZPはY含有量に比例してC吸着量が増えること、単斜晶ジルコニアは正方晶ジルコニアに比べ単位面積当り数倍の抗菌分子吸着能を持つことなどが分かった。 以上の結果から、ジルコニアの結晶構造の違いやY含有量が抗菌分子の吸着に影響を与えることが示唆された。歯科用ジルコニアは一般に正方晶を安定化するための元素が添加されていることから、今後は抗菌分子の吸着に対する安定化元素の影響も検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書において当該年度に予定していた、高透光性ジルコニアを用いたCPC、BKC担持能の検討を実施できたため。 具体的には、抗菌分子との錯体形成能評価のため、高透光性ジルコニアのCPCとBKCの担持能を調べた。安定化元素の構成、含有量の異なる市販ジルコニアブロックを粉末化し、推奨温度にて焼成し高温相を安定化後、再度微粉化を施した。各粉末の比表面積を測定後、CPC、BKC溶液に投入し、37℃で一定時間振蕩した。調整した試料粉末を蒸留水で洗浄後、乾燥させた。TG-DTAにて表面に担持されているCPC、BKCの量を測定し、単位面積当たりの担持量について評価を行った。CPC、BKCの濃度を変化させ、担持量と濃度の関係性、歯磨剤などの含有量との関係性について評価を行った。また、安定化元素の種類とCPC、BKC担持量について検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
① CPC、BKC担持高透光性ジルコニアの抗菌性能評価 抗菌分子担持能の実験で使用した市販ジルコニア粉末を、一軸加圧式プレス機にて圧粉後、推奨温度にて焼成し、ディスク形状を付与した成形体を得る。この成形体を歯磨剤などで使用している抗菌剤の濃度を考慮し、0.3wt%に調製したCPC、BKC溶液に浸漬して、Streptococcus mutans等を塗布した寒天培地上に静置する。37℃で一定時間培養し、ディスク周囲に形成した阻止円のサイズを測定することにより、抗菌性を評価する。さらに、市販の液体歯磨剤などを使用した抗菌性獲得能についても評価し、臨床での有用性を検証する。 ② 試作ジルコニア中の安定化元素毎のCPC、BKC担持能の検討 得られた知見を基に、安定化元素毎の担持能をより詳細に検討するため、ゾル-ゲル法を用いたジルコニアセラミックの調製を行う。酸化塩化ジルコニウム粉末と有望と目するランタノイド硝酸塩溶液を混合後してジルコニア粉末を調整する。その後、①で確立した手法にて抗菌性を評価する。市販ジルコニア含有のYやCeに加えて、La(ランタン)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)について含有量を変えてCPC、BKC担持能を調べる。特に、価数、溶液中での錯体形成能、イオン化エネルギーなどの原子核物理学に係る係数との関係性について詳細に評価する。 ③ 担持能を最適化した試作ジルコニアの性質の評価 ②で検討した条件から、適当と思われる条件の組成物を成型体とし、機械的性質および光学的性質について評価する。CPC、BKC溶液浸漬後の抗菌性を評価し、安定化元素毎の機械的性質と光学的性質に加えて抗菌性獲得能の有用性を検証する。
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Causes of Carryover |
理由:共通機器での分析で発生した使用量の支払いが次年度となるため。 使用計画:上記支払いを実施する。
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Research Products
(3 results)