2023 Fiscal Year Research-status Report
納豆菌 B.subtilisの口腔医療(齲蝕制御)への新たな有用性の証明
Project/Area Number |
22K10043
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
岡 俊哉 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (90213909)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 あかね 日本歯科大学新潟短期大学, その他部局等, 教授 (60180080)
新井 恭子 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (10434143)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | Bacillus / subtilis / MTAセメント |
Outline of Annual Research Achievements |
B. subtilis による、Staphylococcus aureus subsp. aureus (S. aureus)および、Lactobacillus casei (L. casei)に対する抗菌性については以前明らかにした。B.subtilisおよびMTAセメントの抗菌性のデータに追加するべくS.sunguinisに対しての抗菌性の確認を実施した。B.subtilisは寒天培地パンチアウト法において、MTAセメントはディスク拡散法において、両者とも有意に抗菌性を示した。寒天培地カップ法を用いて芽胞発芽時の培養上清の抗菌性に関しては陰性であった。MTAセメントとB.subtilisの混和による相乗効果という点では好ましい結果と考えている。また、B. subtilis培養上清がS.mutansの牛歯への付着を阻害する能力を持つことを示唆する結果を得ていたが、こちらも再度検証して有意な差が得られた。これらの結果はMTAセメントと併用した時のみならず、口腔内ではう蝕の予防にもB.subtilisが作用するということを示しており、有用性を示すデータの一例と言える。 培養細胞を用い、納豆菌(B. subtilis)培養上清を用いた実験を実施した。また、舌癌由来細胞(SAS細胞)、口唇由来線維芽細胞に上清を作用させてそれぞれのmRNAを抽出し解析を開始している。これらはMTAセメントに混和してう蝕治療にB.subtilisが使用された場合、細胞に対してどのような作用を示すのかを遺伝子レベルで明らかにすることを目的としている。これらは単独の研究発表には至っていないが、海藻由来薬効成分フコイダンをオーラルヘルスケアに役立てる研究テーマにおいて、B.subtilisとの併用による相乗効果という観点で発表に盛り込んでいる。日本生化学会、LMF臨床研究会、歯科衛生研究会などで研究発表をおこなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度には症例を確保できる可能性が出てきたことから、再現実験を実施する場合に比べて当該研究の質を大きく向上できるため、当初計画を変更してでも症例を確保したいと考えて綿密な準備を実施したものの倫理申請の段階で指摘された様々な問題点の全てをクリアにすることができなかったため、残念ながら断念した。また、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の学内対応に追われており、十分なエフォートを確保し辛い状況が続いていることも計画遅延の一因である。また、遺伝子解析に関する分析に関しては当初のマイクロアレイ解析よりも費用対効果が高く、より多くの遺伝子を解析できるRNAseq解析を実施する方向に方針変更した。
|
Strategy for Future Research Activity |
培養細胞を用い、B. subtilis培養上清を作用させた場合の変化を調べる実験を実施中である。舌癌由来細胞、口唇由来線維芽細胞のmRNAを抽出し解析を開始している。今後は歯髄幹細胞に対してB. subtilis培養上清が示す細胞毒性をアッセイキットを用いて調べた後、mRNAを抽出し遺伝子解析(RNAseq)を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
RNAseq遺伝子解析費用は産学連携機構が設立した格安委託業者である九州プロサーチに依頼しているが1検体79200円である。統計処理も可能な検体数を確保して進めた結果の残額3万円であり、交付金額全体における3万円は次年度使用額として問題になる大きな金額ではなく、むしろ予算内に上手くおさめることができた結果と考えている。まもなく細胞実験を再開する予定であるが、細胞培養試薬代金から考えると3万円は小さな金額であり速やかに使用予定である。
|
Research Products
(5 results)