2023 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の低栄養における腸内細菌叢の役割解明と新規シンバイオティクス療法の開発
Project/Area Number |
22K10057
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小山 絵理 岡山大学, 大学病院, 医員 (60779437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 和義 岡山大学, 保健学域, 准教授 (20626593)
大野 彩 (木村彩) 岡山大学, 大学病院, 講師 (20584626)
窪木 拓男 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00225195)
大森 江 岡山大学, 大学病院, 医員 (30884879)
大野 充昭 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60613156)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 口腔内細菌 / 慢性腎臓病 / 16sRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、要介護高齢者を対象に糞便の採取を行い、栄養状態の変化と腸内細菌叢との関連を前向きに調査する。 本年度は、対象者28名の糞便検体の便からDNAを抽出して、リボソーム16Sサブユニット領域(V3-V4)をPCRで増幅した後、次世代シーケンサーを用いてDNA配列を読み取った。得られた配列16SrRNA配列データベース(RDP:Ribosomal database project)に対する相同性解析により、菌名の割り当てを行った。収集した腸内細菌叢の結果の特徴を捉えるために、基礎統計量(最大値、四分位数、最小値、平均値、標準偏差、分散等)を計算し、相関解析、α多様性(simpson指数、shannon指数等)解析、β多様性(NMDS)解析等を行った。 昨年度に研究協力を得た対象者の12ヶ月後の追跡調査を行なった。ベースライン時の対象者28名のうち、7名が死亡により脱落したため、21名に対して検体採取および、臨床診査を行なった。ベースライン時に栄養状態良好(BMI≧20.0)であった高齢者15名のうち,追跡調査時にBMI20.0未満になっていた高齢者は3名であった。 また、新たに研究参加に同意を得た新規対象者8名(平均年齢84.6±10.5歳、男性2名、女性6名)のベースラインデータおよび検体を収集した。新規対象者8名のうち、栄養良好高齢者は5名、低栄養高齢者は3名で、平均BMIは、それぞれ25.9±5.6、17.3±0.6であった。 現在は、追跡調査時に採取した検体の細菌叢解析を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で、高齢者施設での同意取得やサンプリングが遅れていたが、進めることが可能となり、一定数の対象者に研究参加いただくことが可能であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度、対象とする高齢者施設を1施設増やす計画である。施設との調整も進めており、引き続き対象のリクルートとサンプリングを行っていく予定である。 次年度は、追跡調査辞典の低栄養の発生有無を応答変数とし、腸内細菌叢の種類・組成や代謝産物を説明変数とした多重ロジスティック回帰分析および共分散構造分析を行い、オッズ比及びその95%信頼区間を算出し、低栄養発症のリスク因子となる細菌種の同定を試みる計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により当初計画時と異なり,高齢者施設でのサンプリングが実施できず解析に遅れが生じたため、解析費用が減額となった。また、研究成果の発表が困難となったため、旅費が減額となった。 今後はサンプリングおよび解析を進め、研究成果を学会参加にて発表する予定である。
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