2022 Fiscal Year Research-status Report
IoTセンサーを利用した高齢者の口腔関連日常生活動作の測定と要介護後期介入転換
Project/Area Number |
22K10076
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤原 彩 岡山大学, 大学病院, 医員 (40612627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪木 拓男 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00225195)
大野 彩 (木村彩) 岡山大学, 大学病院, 講師 (20584626)
水口 一 岡山大学, 大学病院, 講師 (30325097)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | IoTシステム / 口腔関連日常生活動作測定システム / 要介護高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎え、要介護前期から多くの生活動作に介助を要する要介護後期へ移行するタイミングを見出すことは,介護職や医療職の対応を大きく転換するために必須である.しかし,要介護前期から後期にかけて,日常生活動作を継続してモニタリングすることは人的な負担が大きく,医療経済的にも難しい.また,この移行タイミングは個々の高齢者の自立の程度に大きく左右されるため,平均値的な対応が難しく,これをリアルタイムで検知できるスクリーニングツールは今までなかった.そこで本研究では,高齢者が日常的に使用する歯ブラシ等の口腔衛生器具に装着し,歯や粘膜にこれを押し付ける圧力や加速度を測定し,インターネットを介してデータを収集するIoTシステムを開発し,2ヶ月程度の合計データ量が,1GBのSDカードに収まる様にサンプリング周波数を調整中で2ヶ月程度の合計データ量が,1GBのSDカードに収まる様にサンプリング周波数を調整中である.基本システムの完成後に,岡山大学の倫理審査委員会に申請し,5名程度の健常ボランティアを対象に,7日間,自宅で実際に歯磨剤をつけて本機器を使用してもらい,機器の動作検証および歯ブラシ圧の記録シグナルのデータ転送や蓄積が適切に行われることを確認していく予定である. また,在宅療養高齢者にこれを使用してもらい,システムの動作検証を行う.さらに,前向きコホート研究にて長期データを収集するとともに,握力やADL,口腔機能等の評 価を行い,これらが低下するタイミングで,本システムの測定値が低下するか,すなわち測定値の妥 当性を確認する.本研究が成就すれば,要介護者や在宅療養者の日常生活動作をリアルタイムに 多職種が共有できる新しい在宅介護連携ツールが提供されることになる.このシステムには,地域包括ケアシステムのあり方を歯科サイドから根本的に変革する力があると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本口腔関連日常生活動作測定システムの開発については,中野田紳一博士(株式会社インサイドフィールド社)が研究協力者であり,特に口腔清掃中の圧力データーの取得には、歪みゲージを内包したバイオセンサーを開発中であり、実行可能である.日常,継続して使用でき,安価となるように,市販の歯ブラシのグリップ部分に装着し,歯ブラシ自体は交換が出来るよう設計されている.インターネット環境が整わない在宅現場もあることから,SDカードを用いたデータ収集も可能とするシステムを構築している. コロナ感染症の拡大に伴い、在宅療養高齢者を対象とした研究推進が憚られており、研究の推進は遅れている。しかし、新型コロナウイルス感染症も2類相当から5類感染症に移行したことから、なるべく早急に研究を進めていきたいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
岡山大学倫理審査委員会に研究計画書を提出し,許可を得た上で研究を開始する. 申請者らは,2012年から岡山県内で在宅高齢者を対象とした疫学調査を実施中であり,調査施設, 調査協力者等の基盤をすでに確立している.この調査基盤を本研究に応用し,要介護前期にある在宅療養中の高齢者で,口腔清掃が自立している者のうち,Barthel Indexを元に各30名(自立群、軽度ADL低下群、中等度ADL低下群)の研究対象者を抽出し,在宅療養中の高齢者がIoTシステムを問題なく使用できるか、データの収集や蓄積に問題が生じないか、圧力データのグループ妥当性を確認する.研究対象者に,14日間,自宅で実際に本機器を使用してもらい,歯ブラシ時の圧力データを収集する.また,要介護度や介護環境等の背景情報収集とともに,歯ブラシの回数,実施者,時間を記録してもらう.さらに臨床評価を行い,口腔機能や筋力指標,認知機能と圧力データが相関するか,ADLグループ毎の圧力データを比較し,各グループの圧力差を検出できるかを確認する.今後は研究対象者に本機器の使用を継続してもらい,圧力データを蓄積するとともに,3,6,9,12ヶ月後に追跡調査を行う.追跡調査時には各種臨床評価を行い,圧力データの変化と口腔機能,ADL,認知機能,筋力の変化との関連を検討する.特に,追跡中にBarthel Index得点が,ベースライン時の40点以上から40点未満に低下した者,10点以上の低下が見られた者,Barthel Indexの整容の得点が低下した者,握力が2kg以上低下した者を,「口腔関連生活動作低下対象」と定義し,これらの検査値の低下に一致して,圧力データの低下が見られるかを, 混合効果モデル解析を用いて確認する.
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Causes of Carryover |
コロナ禍にあり、介入研究は難しい状況であったが、今後、研究遂行上、前向きコホート研究の実施にむけ、当該調査に必要な費用等に充当するため。
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