2022 Fiscal Year Research-status Report
Predictability of removable prosthodontic treatment for older patients with dementia: a clinical epidemiological study
Project/Area Number |
22K10093
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
服部 佳功 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40238035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 孝 東北大学, 歯学研究科, 非常勤講師 (10396450)
小宮山 貴将 東北大学, 歯学研究科, 助教 (70803550)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 有床義歯補綴 / 治療の予知性 / 認知症 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会のわが国で、認知症患者に対する義歯補綴治療は、既に高頻度診療行為の一部である。認知症者は慣れた義歯の使用は可能でも新製義歯への適応が困難であるとして、現義歯の調整や修理を優先すべきとの指針が示されているが、義歯新製以外に選択肢がない場合に、予知性を疑問視しつつ新製に着手することもしばしばあり、認知症高齢者に対する有床義歯補綴の予知性向上は、本邦歯科補綴学の喫緊の課題である。 本研究は、歯科訪問診療において新規に有床義歯(全部床義歯もしくは遊離端サドルを具えた部分床義歯とし、欠損形態によらずインプラントオーバーデンチャーは除外する)を製作する65歳以上の全症例について、義歯製作の着手時点で評価した有床義歯補綴治療の難易度(日本補綴歯科学会編「補綴歯科治療の難易度を測定するプロトコル」JPS Version 3.1)、義歯非装着時の口腔機能(最大咬合力、咀嚼能力、唾液分泌能)、ならびに認知症の諸症状が、新義歯装着後3カ月後の装着状況(義歯使用有無)に及ぼす影響を調査するものである。 このうち認知症症状に関しては、中核症状とADL障害をDASC-21にて、またBPSDの精神症状と行動症状を、それぞれ日本語版NPIならびにDBD短縮版で評価し、中核症状、ADL障害、BPSDのいずれが義歯使用有無と関連するかを検討することで、認知症高齢者に対する有床義歯治療の予知性向上を図ることが狙いである。 歯科医療者のみで実施する本研究においては、認知症症状の評価に関して十分な信頼性を確保することがきわめて重要な課題である。そこで初年度は、本研究への参加の意思を表明した14名の歯科医師がDASC-21のe-ラーニングの受講を終えるなどして、認知症症状の評価の経験を重ねた。加えて、少数の臨床例で試行的に認知症評価を含むすべての評価項目の記録を実施し、歯科訪問診療における義歯製作と並行して、これらの記録が可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では初年度後半から症例の登録を開始する予定であったが、現在は登録開始の直前の段階であり、その点で若干の遅延があるものの、試行的な記録で研究の実施可能性は確認しており、おおむね順調な進展であるとみなされた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、認知症症状評価に係る検者間信頼性を模擬症例に対する評価を通じて確認(Fleissのκ係数)する段階を経て、対象である有床義歯新製症例を登録する段階へと進む。研究機関内を通じて100名程度の登録を行う予定に変更はない。なお、少数症例を対象とする本研究が本質的にfeasibility studyとしての性格を帯びることは、研究計画書に記載のとおりであり、本研究後に後継となる大規模臨床疫学研究の企画を予定している。
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Causes of Carryover |
研究開始に先立って情報収集や認知症評価に関する講習受講などに努めたため、人件費、謝金等の執行はなかったが、概ね計画通りの執行であった(執行率96.47%)。次年度以降、症例の登録を進めるに従い、計画通りの予算執行を続ける予定である。
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