2022 Fiscal Year Research-status Report
硬組織形成における非コードRNAネットワークを介するコラーゲン発現調節と臨床応用
Project/Area Number |
22K10124
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
吉岡 秀克 大分大学, 医学部, 客員研究員 (00222430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 隆子 大分大学, 医学部, 客員研究員 (30133193)
矢野 博之 大分大学, 医学部, 客員研究員 (50448552)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 非コードRNA / circ(環状)RNA / 骨芽細胞 / コラーゲン発現 / 硬組織 / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外マトリックスは細胞の周囲に存在し、細胞の生物機能の発現の調節を行っている。細胞外マトリックスの成分であるコラーゲン、プロテオグリカン、糖タンパク等は細胞により分泌され、その細胞と相互しながら、細胞を分化させ、細胞の環境を整えていく。私たちは長年、コラーゲン分子の発現に関する研究を行ってきた。硬組織である骨や歯の組織ではハイドロキシアパタイトと共にコラーゲンは主成分である。特に骨組織に存在する骨芽細胞はコラーゲン分子の中でも、I型やV型コラーゲン分子を協調して産生し骨組織のコラーゲン線維を形成する。この発現において共通の転写因子と非コードRNAであるマイクロRNA(miR)が調節に関与していることを見出した。さらにI型コラーゲンの発現には複数の長鎖非コード(lnc)RNAが関与していることが予想され、解析を進めている。今回はもう一つの非コードRNAである環状(circ)RNAについて骨芽細胞における発現を調べた。骨芽細胞(MC3T3-E1)をb-グリセロールリン酸下で培養し、網羅的にcircRNAの発現を解析した。その結果、骨芽細胞に高発現を示すcircRNAを見出した。これらのcircRNAには骨芽細胞や象牙芽細胞の硬組織におけるコラーゲン生成の調節に深く関与することが予想される。今後、コラーゲンや骨芽組織特異的なオステオカルシンや象牙芽細胞に特異的なDSPPへの発現の関与の有無、miR、lncRNAとの相互作用について解析を展開する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの研究で非コードRNAの長鎖非コード(lnc)RNAの解析について解析を行ってきた。今回、同様に異なる非コードRNAであるcircRNAに関する研究を開始したが、コラーゲン発現に関与するcircRNAの同定までには至っていない。コロナの影響で、研究打ち合わせ等を主にリモートで行っており、全体的に研究がやや滞っている。
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Strategy for Future Research Activity |
骨や歯の硬組織の主成分をなすコラーゲンの発現に関与するcirc(環状)RNAを同定し、他の非コードRNAであるマイクロRNAや長鎖非コード (lnc) RNA、或いは転写因子との相互調節機構を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
一般試薬、培養関係の消耗品への使用が少なく、新型コロナ感染症のため、学会への旅費が無かった。また、人件費、謝金への使用は無かった。残額は遺伝子工学用試薬、培養関係への費用、動物購入費、飼育費、関連学会への参加旅費、論文や学会抄録の英文校正、人件費、謝金等に充てる予定である。
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