2023 Fiscal Year Research-status Report
頭頚部がんグルコース飢餓時のオートファジーによるエネルギー補填メカニズムの解明
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22K10135
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
沢井 奈津子 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (10403031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 貴大 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (20383250)
小澤 重幸 神奈川歯科大学, 歯学部, 特任准教授 (40434394)
岩渕 博史 国際医療福祉大学, 国際医療福祉大学病院, 教授 (50265914)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | BCL2 / 扁平上皮癌 / PET/CT / オートファジー / 頭頚部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頚部扁平上皮癌における18F-FDG PET/CT の正診率向上と、がん細胞への18F-FDG集積に関わる分子の検索を目指し研究に従事してきた。その結果、原発巣と転移した頸部リンパ節内の癌組織において、BCL2 (抗細胞死効果および細胞の増殖に関与するがん遺伝子) の発現と、18F-FDGの集積に負の相関関係があることを見出した。 近年、オートファジーのメカニズムが詳細に解明され、① 正常細胞の新陳代謝 (デトックス効果) に重要な役割を有すること、② 細胞死にはカスパーゼを介するアポトーシス性細胞死以外に、オートファジーによる細胞死が存在すること、③ がん細胞では、自身の一部をオートファジーで自食し、低栄養に耐えること、④ がん細胞におけるBCL2の発現低下がオートファジーの活性化に関与することが明らかとなっている。これまで申請者が解明した「がん組織におけるBCL2の陽性率と18F-FDG集積の負の相関関係」から読み取れる新たな仮説として、グルコース依存性が高いがん細胞は、グルタミンや脂質など、他の栄養源に依存することなく、しかしながら、低酸素や糖飢餓状態などが刺激となり、BCL2遺伝子発現低下を介したオートファジーによる自食機能を介して生きながらえる可能性が考えられた。よって、本課題は、① オートファジーを介した口腔扁平上皮癌におけるBCL2の新たな役割を解明し、② 既存のBCL2阻害薬を頭頸部がんに適応拡大するための基礎的データ構築のために役立つ非常に意義深いものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに、口腔扁平上皮がんの患者サンプルを用いてオートファジーマーカー、グルコース代謝バイオマーカーの免疫染色およびその解析を行い、そのデータとSUVmaxとの相関を解析している。BCL2 の発現と、18F-FDGの集積に負の相関関係があることを見出した。同一個体での非がん部分との比較による確認が必要であり、非がん部分の標本の抽出、染色およびその解析を行った。このデータ収集に予定を上回る時間を要したため、当初の予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は患者サンプルの整理を完了させ、全サンプルに対する解析を行うとともに、対象患者において、全生存率、全生存期間、無病生存期間、局所制御期間、患者背景に関するリサーチを行う。患者背景情報、各バイオマーカーの細胞陽性率、SUVmaxを因子として、全生存率、全生存期間、無病生存期間、局所制御期間に関する多変量解析を行う。2024年度は最終年度となるため、得られた成果を学会発表、ならびに論文発表という形で広く公表することを目標とする。
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Causes of Carryover |
口腔扁平上皮癌患者の病理組織切片を用いて各バイオマーカーの免疫組織染色をし、その発現強度をスコア化して評価している。現時点で収集された組織切片は解析に十分な量ではなく、追加が必要となった。また、病院移転に伴う、患者情報収集の手間の増大があり、予想以上の時間を要したため、2024年度も引き続き上記作業が必要となった。染色や情報収集や解析にかかる費用を次年度使用分として消費する。
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Research Products
(6 results)