2022 Fiscal Year Research-status Report
骨吸収抑制薬関連顎骨壊死に対する最適な高気圧酸素療法の確立
Project/Area Number |
22K10138
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浅香 卓哉 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (80637265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 善政 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (00224957)
吉川 和人 北海道大学, 大学病院, 助教 (00637267)
大賀 則孝 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (40548202)
佐藤 淳 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (60319069)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | MRONJ / HBO |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで当科で実施してきた薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)に対する外科的消炎術に併用する高気圧酸素療法(HBO)の効果に関して、改めて検証した。16例のMRONJに20回のHBOを実施し、その前後での血液検査では白血球数ならびにCRPの有意な改善は認められず,CRPにおいてはむしろ上昇傾向を示しており、原疾患による影響が考えられた。一方で、顎骨定量SPECTを用いたモニタリングでは、[病変部のSUVmax]から[頭頂骨SUVmaxの平均値]を除した補正SUVmaxにてHBO前後での比較を行ったところ、HBO前後で有意な低下を認めた。さらにMetabolic bone volume([頭頂SUVmaxの平均値に3を加えた閾値以上の集積範囲)を同様に算出して比較したところ、MBVでも有意な低下を認めた。 また、FDG-PET/CTによるモニタリングを実施したところ、SUVmaxはHBO前後で有意に低下していた。さらに一定のFDGの集積(SUV>3)を認める骨髄炎領域をMetabolic Volume(MV)とし,MVとその領域のSUV平均値であるSUVmeanを乗じたMetabolic Activity(MA)をそれぞれ算出してHBO前後で比較したところ、いずれも有意な低下が認められた。 以上より顎骨定量SPECTとFDG-PET/CTによるモニタリングを併用することでHBO前後の病変の活動性を定量的に評価できることが改めて確認できた。今後は、より効果的な治療戦略を確立するために、HBOの実施回数や実施時期による病変への効果に関して、より詳細な解析をすすめていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象症例となるMRONJで手術を必要とする患者がやや減少しており、COVID19に伴う入院制限なども加わって、研究対象症例が十分に蓄積されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
新規症例を確保しつつ、術前10回術後20回群、術前10回術後10回群(短縮群)、術後HBO20回群の3群に分けてARONJ症例を最低各5例ずつ分類した上で、術前の抗炎症効果と術後の治癒促進効果に着目し、1)術後経過に関する創部評価、2)FDG-PET/3phase骨シンチグラフィーによる画像評価、3)手術標本での免疫組織学的評価、4)フローサイトメトリーによる唾液中免疫細胞解析を予定し、効果的な術前HBOの回数や必要性、さらにその基礎的な機序解明を行う。
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Causes of Carryover |
対象症例となるMRONJで手術を必要とする患者がやや減少しており、COVID19に伴う入院制限なども加わって、研究対象症例が十分に蓄積されていない。 また、米国口腔内科学会などに参加発表を予定していたが、米国の物価上昇の影響により、参加に関わる諸経費が著しく高騰したため、参加を中止した。これに伴い、旅費に関する変更が生じた。 次年度以降に症例蓄積を継続し、その解析に関わる諸経費と米国学会への参加に関わる旅費を計上予定である。
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