2023 Fiscal Year Research-status Report
骨吸収抑制薬関連顎骨壊死に対する最適な高気圧酸素療法の確立
Project/Area Number |
22K10138
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浅香 卓哉 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (80637265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 善政 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (00224957)
吉川 和人 北海道大学, 大学病院, 助教 (00637267)
大賀 則孝 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (40548202)
佐藤 淳 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (60319069)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | MRONJ / HBO |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで当科では薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)55例に高気圧酸素療法(HBO)を実施してきた。55例中40例が外科的消炎術に併用してHBOを実施し、15例が疼痛や感染制御を目的として消炎目的にHBO単独で実施された。手術時のHBO実施回数の中央値は30回であり、消炎単独でのHBOの実施回数中央値は20回であった。HBO併用の外科的消炎術実施時における消炎の奏効率は34/40例であり、HBO単独での消炎時における奏効率は8/15例であった。 また、16例のMRONJの手術前に20回のHBOを実施していた症例を抽出し、その前後での臨床検査結果を解析した。HBO前後での血液検査では白血球数ならびにCRPの有意な改善は認められず,CRPにおいてはむしろ上昇傾向を示しており、原疾患による影響が考えられた。一方で、顎骨定量SPECTを用いたモニタリングでは、[病変部のSUVmax]から[頭頂骨SUVmaxの平均値]を除した補正SUVmaxにてHBO前後での比較を行ったところ、HBO前後で有意な低下を認めた。さらにMetabolic bone volume([頭頂SUVmaxの平均値に3を加えた閾値以上の集積範囲)を同様に算出して比較したところ、MBVでも有意な低下を認めた。 HBOの実施回数に関しては、統計解析上有意差は認められないものの、30回前後の実施症例に関しての多くが、骨露出の再発を認めず、良好な予後が認められる傾向にあった。 一方で消炎目的にHBOを実施した症例で10回程度でも一定の消炎効果が確認されたため、症例に応じて回数を選択することでHBOの有効の可能性が示唆された。引き続きより詳細な解析をすすめていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象症例となるMRONJで手術を必要とする患者がやや減少しており、研究対象症例が十分に蓄積されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
新規症例を確保しつつ、術前のみ実施群、術後のみ実施群、術前後実施群での3群に分けてARONJ症例を最低各5例ずつ分類した上で、術前の抗炎症効果と術後の治癒促進効果に着目し、1)術後経過に関する創部評価、2)FDG-PET/3phase骨シンチグラフィーによる画像評価、3)手術標本での免疫組織学的評価、4)フローサイトメトリーによる唾液中免疫細胞解析を予定し、効果的な術前HBOの回数や必要性、さらにその基礎的な機序解明を行う。
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Causes of Carryover |
対象症例となるMRONJで手術を必要とする患者が減少し、高気圧酸素療法を併用する手術症例が減少したため、研究対象症例が十分に蓄積されていない。 また国際学会参加を予定していたが、参加に関わる諸経費が著しく高騰したため、参加を中止した。これに伴い、旅費に関する変更が生じた。 次年度以降に症例蓄積を継続し、その解析に関わる諸経費と米国学会への参加に関わる旅費を計上予定である。
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