2022 Fiscal Year Research-status Report
エクソソームを介した軟骨細胞・マクロファージ間相互作用の解明
Project/Area Number |
22K10166
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西條 英人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80372390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30344451)
疋田 温彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (60443397)
田澤 美樹 (柏木美樹) 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70803360)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 軟骨再生 / マクロファージ / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
C57BL/6Jマウスより耳介軟骨を採取し、コラゲナーゼ溶液で処理して軟骨細胞を得た。軟骨細胞を遠心し、ペレットを作製した。また、C57BL/6Jマウスの骨髄細胞を採取し、翌日浮遊細胞を回収し、1週間培養してM1、M1-like、M2、M2-likeマクロファージを誘導した。Flow cytometryや、炎症性サイトカインや抗炎症性サイトカインの遺伝子発現解析により誘導を確認できた。 調製した軟骨ペレットとマクロファージの共培養を行い、リアルタイムRT-PCRにて遺伝子発現変化を確認した。このうち、軟骨ペレットとM1-likeMφマクロファージの共培養においては、M1-likeマクロファージはM2マクロファージ傾向となるが、細胞外小胞放出阻害剤であるROCK阻害剤を添加することにより、M1マーカーのTNF-αの上昇、M2マーカーのCD206低下がみられる傾向にあった。 また、マクロファージ培養上清を単層培養軟骨細胞に添加し、遺伝子変化を解析した。その結果、M1マクロファージ培養上清の添加で軟骨細胞におけるMMP-13およびIL-6の発現上昇がみられ、M1マクロファージのCatabolicな作用が確認できた。また、軟骨細胞培養上清によって前処理したM1-likeMφを培養し、培養上清を採取して再び単層培養軟骨細胞に添加したところ、アグリカンの発現上昇傾向がみられ、軟骨細胞により刺激を受けたM1-likeマクロファージの同化作用が示唆された。 加えて、エクソソームの精製と定量法の検討を行った。エクソソームの単離精製には関しては多様な手法が報告されており、いずれの方法も一長一短ある。そのため本研究に適した方法の選択が必要である。ポリマー沈殿法または限外ろ過法による単離、酵素活性を利用したエクソソーム定量法による精製・定量の検討を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに、マクロファージおよび軟骨ペレットの培養を行い、共培養における阻害実験を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、調製した軟骨ペレットとマクロファージの共培養を行い、マクロファージ及び軟骨細胞の変化を検討する。リアルタイムRT-PCRによる遺伝子発現変化に加え、タンパクレベルでのM1、M2マーカーの発現、サイトカイン発現、軟骨マーカー発現などを検討する。 また、マクロファージおよび軟骨細胞(単層培養あるいはペレット培養)の培養上清あるいは細胞外小胞添加実験を継続し、それぞれの細胞からの因子がもう一方の細胞に与える影響をそれぞれ分析する。適宜必要に応じて、細胞ごとにエクソソーム分泌を抑制するために、neutral spingomyelinase 2 (nSMase2)に対するshRNA発現レトロウイルスベクターを作製する。 さらに、エクソソームの精製と定量法の検討を継続し、方法を最適化する。
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