2023 Fiscal Year Research-status Report
神経障害性疼痛緩和のための新たな標的ードーパミン受容体の機能解明ー
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22K10167
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前川 博治 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (10711012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 均 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (30218250)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / CGRP / ドパミンD2受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
眼窩下神経を結紮して作製した神経障害性疼痛モデルラットの頭蓋骨に、薬剤投与用の金属カニューレを設置した。そのカニューレを通して、抗calcitonin gene-related peptide (CGRP)抗体を脳室内投与した後に、神経結紮と同側の鼻毛部に熱刺激を加えた。熱刺激に対して逃避行動を起こす閾値(秒数)を測定した。また、その後にドパミンD2受容体作動薬(quinpirole)を腹腔内投与し、同様に鼻毛部に熱刺激を加え、逃避行動を起こす閾値を測定した。神経障害性疼痛モデルラットでは、熱刺激を加えたときに逃避行動を起こす閾値が減少した(逃避行動を起こすまでの時間が短くなる)。そして、抗CGRP抗体を投与すると、熱刺激を加えたときに逃避行動を起こす閾値が増加する(逃避行動を起こすまでの時間が長くなる)傾向を示す結果を得た。抗CGRP抗体の対照群としてcontrol IgGを投与したラットからは、閾値の増加傾向示すような結果は得られなかった。また、その後にドパミンD2受容体作動薬を投与した場合は、その閾値に更なる変化は生じない傾向を示す結果を得た。また、ドパミンD2受容体作動薬の対照群として生理食塩水を投与したラットでも、更なる閾値の変化は生じない傾向を示す結果となった。抗CGRP抗体とドパミンD2受容体作動薬は、それぞれ単独で投与した際に、神経障害性疼痛を抑制することが報告されている。しかし、それらを併用した場合に、単独で投与した場合を上回る抑制効果は生じない可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の進行を大きく妨げるような出来事がなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫組織学的な検討を行う予定である。神経障害性疼痛モデルラットに抗CGRP抗体を脳室内投与した後に、鼻毛部に熱刺激を加えてから灌流固定する。また、抗CGRP抗体投与後にドパミンD2受容体作動薬を投与した後にも、熱刺激を加えてから灌流固定する。脳を取り出し、三叉神経脊髄路核尾側亜核の切片を作製し、pERKに対する免疫染色を行う。
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