2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K10175
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
片山 郁夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80295089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佛坂 由可 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (10244089)
佐々木 美穂 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (10437874)
田代 茂樹 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (20300882)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | cPLA2 / 低酸素 / HIF-1α / ATM |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も低酸素適応応答に対するcPLA2の関与について検討した。この実験にはcPLA2WTマウスおよびcPLA2KOマウスの肺から分離したcPLA2(+/+)およびcPLA2(-/-)の線維芽細胞を使用した。 (1)cPLA2(+/+)およびcPLA2(-/-)の線維芽細胞を低酸素状態で培養し、細胞死の違いをFACS解析で検討した。その結果、cPLA2(+/+)では約50%の細胞に細胞死がみられたのに対して、cPLA2(-/-)では約20%の細胞にしか細胞死がみられなかった。このことから、cPLA2が低酸素適応応答に関与している可能性が示唆された。さらに、cPLA2(+/+)およびcPLA2(-/-)の線維芽細胞に低酸素刺激を行い、低酸素適応応答に中心的な役割を果たす遺伝子であるHIF-1αの発現を検討したところ、cPLA2(-/-)ではcPLA2(+/+)と比較してHIF-1αの発現が抑制されることが確認された。以上のことから、cPLA2はHIF-1αの発現に何らかの影響を与えており、そのことによってcPLA2が低酸素適応応答に関与しているのではないかということが示唆された。 (2)次に、低酸素刺激によるDNA損傷応答に対するcPLA2の関与を調べるために、DNA損傷応答の起点となる遺伝子であるATMのリン酸化(=活性化)について検討した。cPLA2(+/+)およびcPLA2(-/-)の線維芽細胞に低酸素刺激を行い、ATMのリン酸化について調べたところ、低酸素刺激によるATMのリン酸化はcPLA2(-/-)とcPLA2(+/+)の両方で確認されDNA損傷応答が起こることがわかったが、cPLA2(-/-)とcPLA2(+/+)に発現のタイミングや発現量に差はみられなかった。このことから、低酸素刺激によるDNA損傷応答にはcPLA2は関与していないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
cPLA2の低酸素適応応答への関与を確認することができたが、低酸素細胞の放射線抵抗性におけるシグナル伝達においてcPLA2がどうのように関与しているのかをまだ示せていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、低酸素細胞の放射線抵抗性におけるcPLA2の働きについて検討するために、cPLA2(+/+)およびcPLA2(-/-)の線維芽細胞に低酸素環境下で放射線照射を行い、HIF-1αやDNA損傷応答遺伝子群の発現の違いを明らかにしたい。そのことによって「低酸素細胞の放射線抵抗性におけるcPLA2の働き」を明らかにできるものと考える。
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Causes of Carryover |
(理由) cPLA2の低酸素適応応答への関与を確認することができたが、低酸素細胞の放射線抵抗性におけるcPLA2の働きについてはまだ検討できなかった。そのため、発表を予定していた日本歯科放射線学会第64回学術大会(岐阜県)および日本歯科放射線学会第4回秋季学術大会(北海道)に参加できなかったため旅費を使用しなかった。 (使用計画) 遺伝子解析に必要な抗体・試薬の購入、および日本歯科放射線学会第5回秋季学術大会(岩手県)への旅費に充てる予定である。
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