2022 Fiscal Year Research-status Report
顎矯正手術後の治癒過程における骨代謝活性の亢進現象の解明とその臨床応用
Project/Area Number |
22K10188
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 陽子 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (90431593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 美麗 東北大学, 歯学研究科, 講師 (10236820)
高橋 哲 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (60226850)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 顎矯正手術 / 骨代謝活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎矯正手術に伴う外科的侵襲ストレスが、骨リモデリングを促進すると考えられており、その結果矯正学的歯の移動が促進され治療が短くなる可能性が提唱されている。臨床現場ではこの現象を応用し、近年術前矯正治療を行わずに外科矯正手術を先行するSurgery First法(SF法)が注目を浴びている。しかしながらそのエビデンスとメカニズムの解明は十分とは言えていないのが現状である。また一方で手術侵襲や骨折後の骨治癒過程において、局所的に代謝活性が亢進するるRegional acceleratory phenomenon(RAP)と全身的に活性が亢進するSystemic acceleratory phenomenon(SAP)が知られており、さらにヒト末梢血中に存在するCirculating osteoblast-lineage cells (Circulating osteogenic progenitor cells: COP細胞)はosteocalcin (OCN)陽性などの特徴を有し, 成長期と骨折時に増加し, in vivo/vitroで骨形成能を有することが報告されいるが、この細胞が顎矯正手術時の骨治癒過程への関与や、Surgery First法での手術後の矯正学的歯の移動を促進する背景になっている可能性も十分考えられる。 本研究では、SF法の患者を研究対象とし当初は臨床研究を進める予定であったが、同院の規模縮小などにより共同研究が不可能となってしまった。臨床研究の計画変更を余儀なくされており、現在SF法に限定せずに顎矯正手術を行う患者を対象とすべく再考中である。 基礎研究では、ラットの予備実験を行い、プロトコールが概ね決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウィルス感染拡大や施設の改修などによる活動制限があり基礎研究に遅れが生じている。また臨床研究では予定外の共同研究候補先の組織構造変化により共同研究が不可能となってしまった。学会活動も制限が残り、情報収集もやや停滞している。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎研究としての動物実験(本実験)を主軸とし、開始する。 全身麻酔下にて7週齢Wistar系ラットの上顎骨を切開し、注水下にて切削器具でバイコルチカルな骨欠損を作成し、その後縫合する。骨欠損を形成した群を実験群、骨欠損を形成せずにShamオペを行った群を対照群とし、比較解析する。次にラットの骨欠損モデルに規格的に作成した矯正装置を装着し、矯正力を付加し歯を移動させる。骨欠損を形成した実験群とShamオペのみ行った対照群を設定し、麻酔下にマイクロCTを撮影、歯の移動距離を計測する。これらの群の上顎骨のパラフィン切片を作成し、HE染色や免疫染色により組織学的な検索を行う。また、非奪回切片により硬組織蛍光ラベル解析も行い、経時的骨形成洋装や骨形成量の測定を行う。骨欠損部分の組織はホモジナイズし、各種サイトカインや毛も下院、骨吸収・骨形成マーカーなどについてリアルタイムPCRにてmRNA発現を定量する。 臨床研究はSF法に限らず顎矯正手術を行う患者を対象にしサンプル数を増やしたい。血清中サイトカイン(IL-1, IL-6, IL-10,TNF-αなど)やタンパク質(SDF-1やBMP-2など)の発現について測定・解析予定である。
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Causes of Carryover |
また共同研究予定施設の規模縮小などにより研究計画の再立案が必要となったことや、コロナウィルス蔓延による活動制限も相まって、研究に遅れが生じているため。
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