2023 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍関連免疫抑制性細胞を標的とした口腔癌に対する新たな免疫療法の開発研究
Project/Area Number |
22K10214
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
冨原 圭 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70404738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 学 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10547516)
立浪 秀剛 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (30850268)
野口 誠 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (50208328)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 免疫療法 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 腫瘍関連免疫抑制性細胞 / 好中球・リンパ球数比 / 腫瘍関連好中球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、口腔癌に対する免疫療法薬を用いた有効な治療戦略の開発を目的とし、担癌宿主で著しく増加する腫瘍関連免疫抑制性細胞の標的化により、免疫チェックポイント分子阻害による抗腫瘍効果を最大限に引き出す新たな免疫学的治療戦略について究明することを目的とした。宿主の炎症反応の指標の一つである好中球・リンパ球数比(Neutrophil to lymphocyte Ratio;以下NLR)は、末梢血における好中球数をリンパ球数で除した値であり、近年、様々な癌腫において免疫チェックポイント阻害薬の治療効果とNLRとの関連性についても報告されている。担癌状態では、腫瘍に随伴した炎症の併発や腫瘍細胞から産生される様々な因子によって好中球が増加する。担癌患者の末梢血中に増加するこの好中球は腫瘍関連好中球(Tumor-associated neutrophil:以下TAN)とも呼ばれ、IL-10やIL-6などの炎症性サイトカインの放出やVEGF(vascular endothelial growth factor)の産生による腫瘍血管新生を介して、腫瘍の増殖や浸潤・転移などを促進することが知られている。またTANに加え、担癌患者では腫瘍関連マクロファージ(Tumor-associated macrophage:以下TAM)や、腫瘍間質においては癌関連線維芽細胞(Cancer-associated fibroblast:以下CAF)が免疫抑制に関与していることが示唆されており、これら末梢における腫瘍関連の免疫抑制性細胞の集簇は宿主の免疫応答を強く抑制する因子と考えられている。しかし、担癌宿主内におけるTAN、TAM、CAFの集簇に関わる因子は不明で、さらには免疫治療薬への抵抗機序との関連は解明されていない。口腔癌における免疫逃避機序の解明とその治療標的化に関して、シンジェニックのマウス口腔癌モデルを用いた免疫学的解析を行ってきた。その結果、口腔癌担癌宿主においてCD11b+Gr-1+の細胞が腫瘍の増大に伴い腫瘍組織において著しく集簇し、T細胞免疫応答を抑制する機能を有することを解明してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
担癌宿主では、T細胞免疫応答を強く抑制する未成熟な骨髄由来細胞であるMyeloid-derived suppressor cell(MDSC)が増加し、がんの免疫逃避機序において主要な働きをしていることが今回の研究で示された。また、MDSCはCD11b+Gr-1+を表面マーカーと同定されているが、形質的にも機能的にも多様性に富んだ細胞であり、未成熟なMDSCが末梢血中へ移行しTAN、TAM、CAFなど他の免疫抑制性細胞へと分化する可能性が示唆される研究結果も確認された。また、これらミエロイド系細胞を介した免疫抑制機序が免疫療法の奏功に与える影響については高い関心が寄せられているところではあるが、これまでの研究で、免疫チェックポイント分子阻害の治療効果において、ミエロイド系細胞分化傾向が確認できた。以上の結果から、研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍の骨髄由来免疫抑制性細胞(MDSC)を標的化できるのか、MDSCの標的化は、TAN、TAM、CAFを抑制できるのか、ミエロイド系の標的化で免疫チェックポイント阻害薬の効果を効率的に引き出せるのか、これらの内容を明らかにするため、本研究ではさらに、C3H/HeNマウス由来の口腔扁平上皮癌NR-S1K細胞と同マウスを用いシンジェニック口腔癌モデルを用いて、具体的には、MDSCの選択的除去薬の検証とTAN、TAM、CAF抑制効果の解析(6年度)、MDSC選択的除去による免疫チェックポイント阻害薬の効果を治療実験(6年度)に検証を予定している。
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Causes of Carryover |
物価変動を鑑み、消耗品費に購入において安価なものを選定したところ、当初計上した予算よりも差額が発生したため。
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Research Products
(2 results)