2023 Fiscal Year Research-status Report
Complementary alternative medicine contributes to attenuate orofacial pain: anesthetic and anti-inflammatory effects of phytochemical
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22K10232
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
武田 守 麻布大学, 生命・環境科学部, 教授 (20227036)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 局所麻酔 / フィトケミカル / 補完代替医療 / 食品成分 / 抗炎症・鎮痛薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は炎症動物におけるケルセチンの局所麻酔効果の有無を判定し局所麻酔薬リドカインとの効力の違いを評価した。Wistar雄ラットを3%イソフルラン麻酔処置後、左側口髭部分に,慢性炎症を誘発する起炎物質(CFA)を投与し炎症モデル動物を作成した。CFA投与1日後 von Frey hairsを用いて逃避反射の閾値低下より炎症性痛覚過敏を確認した。炎症誘発1日後のラットに全身麻酔処置後、タングステン金属記録電極を左側三叉神経節(TG)に刺入し、炎症誘発口髭部分への機械刺激に応じる単一TGユニット活動を記録した。炎症動物の炎症誘発口髭部にケルセチン局所投与後、経時的に機械刺激強度に対するユニットの放電頻度をスパイクヒストグラム作成により定量的に解析した。その結果、炎症部位へのケルセチンの局所投与により、非侵害および非侵害刺激に応じるニューロンの放電頻度は1-10mMの範囲で濃度依存かつ可逆的に有意に抑制された。ケルセチン1mM の局所投与によってTG ニューロンの平均放電頻度は15分後をピークに減少し、投与後45分以内で投与前のレベルに回復する可逆的効果が観察された。また炎症部位への1%リドカインの局所投与により機械刺激に応答するTGニューロンの発火頻度は抑制される傾向が観察された。炎症組織に対する1mMケルセチンの放電頻度抑制率はリドカインに比較して有意に強いことが判明した。また侵害刺激に対するケルセチンの抑制率は正常動物(前年度データ)よりも炎症動物では有意に強い値であることがが判明した。したがって、本実験よりフィトケミカルであるケルセチンの炎症組織への局所投与は侵害刺激に応じる侵害受容性一次ニューロンの興奮性をおそらく起動電位および活動電位の両者の発現を可逆的に抑制することで発現し、補完代替医療に貢献する可能性が推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題はフィトケミカルの三叉神経支配領域の侵害受容性疼痛に対する局所麻酔作用や術後痛などの炎症性疼痛に対する緩和効果を既存の局所麻酔薬との比較において「一次感覚ニューロン」レベルで神経生理学的に解析することを目的としている。本年度は、前年度得られた論文発表データをもとに、炎症動物でフィトケミカルであるケルセチンに局所麻酔作用があることが確認でき、この効果が局所麻酔薬1%リドカインとの同等の効果を持つことおよび、正常動物よりも強い抑制効果が判明した。これらの研究成果を国際的疼痛専門誌に論文公表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度得られた研究成果である「ケルセチンの炎症組織における局所麻酔効果が既存の麻酔薬リドカインより有意に強いこと」が確認できたので、令和6年度は正常動物および炎症モデル動物を作成し、ケルセチンと同等あるいはそれ以上の炎症性疼痛緩和が期待されるフィトケミカルである「カテキン」の効果をこれまでの2年間で確立した研究手法により、更なる仮説の検証を行う。これにより、フィトケミカルが局所麻酔薬の代替薬となり、臨床医療の現場における補完代替医療に貢献する可能性を示唆する明確なエビデンスを得たいと考える。
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Causes of Carryover |
当初予定していた動物実験の回数よりも少ない動物使用数において研究成果が得られたことが主な要因である。繰越額は次年度に使用予定の記録電極、起炎物質や麻酔薬などの薬品購入や動物購入費に充足する予定である。
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