2022 Fiscal Year Research-status Report
抗体模倣分子で解くS. mutansコラーゲン結合蛋白質の病原性と機能・構造相関
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22K10233
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
平田 あずみ 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (40263587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 和文 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (40346185)
田中 俊一 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (70591387)
野村 良太 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (90437385)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | コラーゲン結合タンパク質 / Streptococcus mutans / 抗体模倣分子 / 病原性発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔は大腸と並び生体において最も多くの細菌種が生息する器官で、口腔バリアの破綻により、これらの菌が血管内へ侵入するリスクは非常に高い。何らかの基礎疾患を持つ患者では血液中に侵入した口腔細菌が疾患の悪化に関わることがあり、心疾患患者にみられる感染性心内膜炎もその一つである。この原因細菌にはStreptococcus mutansも認められ、その中でも特に、血清型f 型 S. mutansが高い病原性を示し、これにはこの血清型の菌株のみが産生するコラーゲン結合タンパク質が関わることが報告されている。われわれはコラーゲン結合タンパク質Cnm/ Cbmとコラーゲンの結合機構を構造生命科学的に明らかにすることでS. mutansの病原性発現メカニズムを解明するという課題に取り組んでいる。これまでにコラーゲンとの結合に直接かかわるコラーゲン結合ドメインCnm_CBD/ Cbm_CBDに注目し、Cnm_CBDのX線結晶構造解析による結晶構造情報を収集するとともに、Cbm_CBDを構成する4つのドメイン領域の変異体19種を作製し、それらの熱安定性測定とコラーゲン結合活性測定を行うことにより各ドメイン領域の役割を考察し、Cnm_CBD/ Cbm_CBDとコラーゲンとの結合機構や相互作用を明らかにしてきた。本研究では抗体の抗原特異的結合能を模倣した「抗体模倣分子」を創製し、この抗体模倣分子をツールとして、これまでとは全く逆の観点「Cnm/ Cbmとコラーゲンの結合を剥がす機構」をX線構造解析により解くことでS. mutansの病原性発現メカニズム解明という課題にアプローチする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究のアプローチの主軸となる「人工分子プローブ」として、「抗体模倣分子」の創出に取り組んでいるが、その獲得には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
①抗体模倣分子の設計、選別条件の見直しを行い、抗体模倣分子の創出を継続する。 ②獲得した抗体模倣分子の結晶化を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)本年度は、予想よりも試薬等の購入の必要性が低かったことによる。 (使用計画)次年度は、継続する抗体模倣分子の創出と獲得した抗体模倣分子の結晶化に必要な試薬購入の経費として充当する予定である。
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