2023 Fiscal Year Research-status Report
硫酸代謝に着目した口唇口蓋裂の発症機構解明の基盤研究
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22K10242
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡 綾香 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (20635403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬伏 俊博 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (30550941)
山城 隆 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (70294428)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 硫酸イオン代謝異常 / 口唇口蓋裂 / Slc26a2遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】硫酸イオン代謝の異常が口唇口蓋裂をはじめとした顎顔面の形態形成や骨形成異常を引き起こすメカニズムの解明。 【方法】初代培養マウス間葉系細胞を採取し、in vitroでの解析を行った。レンチウイルスを用いてshRNA発現ベクターのトランスフェクションを行い、Slc26a2遺伝子のノックダウン細胞を作成した。Slc26a2遺伝子のノックダウン細胞と対象となるコントロール細胞からRNAを採取し、RNAシークエンス解析をした。 【結果・考察】RNAシークエンス解析の結果、Slc26a2遺伝子のノックダウン細胞では、Slc26a2遺伝子の発現の低下を確認した。Slc26a2遺伝子のノックダウン細胞に発現の低下が認められる遺伝子をエンリッチメント解析したところ、Go解析ではextracellular matrix organization、collagen fibril organization等の細胞が基質の組織化に関わる遺伝子や、細胞接着、骨石灰化に関わる遺伝子に加えcanonical Wnt signaling pathwayがエンリッチメントされていた。KEGG pathway解析では、ECM-receptor interaction、Focal adhesion、PI3K-Akt signaling pathway、Wnt signaling pathwayがエンリッチメントされていた。本結果より、Slc26a2遺伝子の発現低下により、細胞接着や古典的Wntシグナル経路の異常が引き起こされる可能性が示唆された。古典的Wntシグナル経路は頭蓋顎顔面の発生に必須な因子であり、口唇口蓋裂の発症にも関与していることが明らかになっており、Slc26a2遺伝子の機能喪失による硫酸イオン代謝の異常が引き起こす口唇口蓋裂をはじめとした顎顔面の形態形成や骨形成異常を説明できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス間葉系細胞を採取し、in vitroでの解析をスムーズに行うことができ、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度のRNAseq解析の結果、Wnt signaling pathwayがSlc26a2ノックアウトマウスでの口蓋裂を伴う頭蓋顎顔面の形態異常に起因している可能性考えられる。そのため、免疫組織化学的手法を用いて、Slc26a2のノックダウンがWnt signaling pathwayに及ぼす影響をin vivoにて検討する。さらに、口蓋突起間葉組織を採取し、in vitroでの検証実験を行うことで、Slc26a2欠失による硫酸代謝異常が頭蓋顔面の形態異常を引き起こす原因を明らかにしていく。
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Research Products
(4 results)