2022 Fiscal Year Research-status Report
Sema3Aによる下顎頭軟骨分化促進機構の解明と下顎後退症新規治療への応用
Project/Area Number |
22K10273
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
麻川 由起 (丹根由起) 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (50526241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 幸太郎 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (20322240)
矢野下 真 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (20823199)
國松 亮 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (40580915)
廣瀬 尚人 広島大学, 病院(歯), 講師 (50611935)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Sema3A |
Outline of Annual Research Achievements |
下顎後退症は、先天的あるいは後天的な下顎骨の成長不全の結果生じる顎顔面形態の一様相であるが、この形態変化を決定する要因は不明な点が多い。申請者らは、下顎頭軟骨成長のメカニズムを解明するために、近年骨粗鬆症を始めとする様々な疾患の鍵分子とされている Semaphorin3A (Sema3A) に着目し、研究を行ってきた。その結果、Sema3A が培養軟骨細胞の初期分化段階で高発現し、Aggrecan やⅡ型コラーゲン発現を増加させることを明らかとした。Sema3A は軟骨の初期分化を促進している可能性が考えられるものの、その詳細なメカニズムは不明である。本研究は、Sema3A による下顎頭軟骨分化促進メカニズムを検証することを目的とした。本年度では、Sema3A による Aggrecan およびⅡ型コラーゲン発現に対するSema3A レセプター(Nrp-1) の関与について検証した。培養軟骨細胞に対して、5ug/ml Nrp-1中和抗体存在下でSema3Aを添加したところ、5ug/ml Sema3AによるⅡ型コラーゲン遺伝子発現上昇を抑制する結果となった。この結果より、Sema3AによるⅡ型コラーゲン遺伝子発現促進機構はNrp-1を介している可能性が示唆された。次にNrp-1 中和抗体を用いてNrp-1ブロッキング後に、Sema3Aを14日目まで添加した後、アルシアンブルー染色を行い基質産生能へのNrp-1の関与について比較検討を行ったところ、基質産生能の抑制は認められなかった。この実験に関しては、実験条件の再検討を行う予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はNrp-1の抑制にsiRNAを用いる予定であったが、siRNAではNrp-1の発現抑制が不十分であったため、Nrp-1中和抗体を用いることに変更したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、シグナリング経路について検討するため、Sema3A 添加時および Nrp-1中和抗体 を用いて Nrp-1 をブロックした際、Wnt5a および P13K/Akt 活性変化をウェスタンブロット法にて分析する。さらに、年齢がSema3A および Sema3A レセプターの下顎頭軟骨および滑膜における局在と発現量におよぼす影響について検討する。
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Causes of Carryover |
今年度の実験状況の遅れより、今年度購入予定であったwestern blotゲル自動転写式電気泳動装置の購入を見送ったため、当該助成金が生じた。次年度は、シグナリング経路の検討に必要な試薬およびwesten blot解析用の抗体、ならびにSema3Aの免疫組織学的検討のためのラット購入費用と抗体に使用する予定である。
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