2023 Fiscal Year Research-status Report
加齢耳下腺における脂肪酸取り込みと脂質ラフトから切り込むドライマウス病態の新機軸
Project/Area Number |
22K10297
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
佐藤 慶太郎 明海大学, 歯学部, 准教授 (10549041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 基司 獨協医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20409155)
大野 雄太 朝日大学, 歯学部, 講師 (30796644)
長瀬 春奈 朝日大学, 歯学部, 助教 (40888799)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 唾液腺 / 口腔乾燥症 / 脂肪酸輸送体 / 唾液分泌 / パルミチン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス耳下腺に発現する脂肪酸輸送体CD36のパルミチン酸取り込みへの関与を検討した。8週齢および72週齢のマウスから耳下腺を摘出し、CD36阻害剤スルホスクシニミジルオレート存在下または非存在下にて放射性同位元素で標識したパルミチン酸を20分間作用させた。その後、完全燃焼装置を用いて耳下腺に取り込まれた放射性同位元素量を測定した。 8週齢のマウスから摘出した耳下腺では、スルホスクシニミジルオレートにより放射性同位元素の取り込み量が有意に減少した。一方、72週齢のマウスから摘出した耳下腺では、スルホスクシニミジルオレートによる放射性同位元素の取り込み量の有意な減少を検出しなかった。以上のことから、8週齢のマウス耳下腺ではCD36がパルミチン酸の取り込みに関与する一方、72週齢のマウス耳下腺ではCD36以外の因子もパルミチン酸の取り込みに関与することが示唆された。 また、マウスの唾液分泌におけるCD36の関与を検討した。8週齢および72週齢のマウスにスルホスクシニミジルオレートを前投与した後、ムスカリン受容体アゴニストであるピロカルピン刺激による唾液分泌量を測定した。その結果、8週齢のマウスではスルホスクシニミジルオレートにより唾液分泌量の有意に減少した。一方、72週齢のマウスではスルホスクシニミジルオレートによる唾液分泌量の有意な減少を検出しなかった。 これらから、マウス耳下腺のCD36を介する脂肪酸取り込み機構と唾液分泌への関与は加齢によって変化することが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CD36の唾液分泌への関与はマウスの週齢により変化する可能性がある。このことは耳下腺の脂質ラフト自体も加齢により変化することを示唆するものである。本研究課題のターゲットである「加齢耳下腺の脂質ラフト」を起点としたドライマウス病態へのアプローチを担保すると考えられ、研究課題の進捗状況は概ね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
8週齢と72週齢のマウス耳下腺におけるCD36の細胞内局在をウェスタンブロッティングおよび免疫蛍光染色にて検討する。さらに、8週齢と72週齢のマウス耳下腺より脂質ラフトを分離調整し、CD36をはじめとした機能分子の発現を解析する。
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Causes of Carryover |
研究分担者が2023年度途中より産前産後休業および育児休業を取得した。そのため、当初予定していた放射性同位元素を用いた研究の一部を2024年度に実施することとし、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、放射性同位元素で標識した生理活性物質の準備に物品費としてあてる。
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