2023 Fiscal Year Research-status Report
The proposal of using nicotianamine as a novel therapeutic agent in periodontal disease
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22K10301
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
佐藤 武則 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (40638904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 信城 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (20247315)
半田 慶介 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (40433429)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ニコチアナミン / 歯周病 / 炎症性サイトカイン / 植物性食品 / マクロファージ / Porphyromonas gingivalis |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は歯周病の改善にニコチアナミン(NA)が有効成分であるか評価し、基礎疾患で処方されている薬剤と併飲できる安全性の高い薬剤開発に役立てることを目的としている。前年度の研究ではNAが炎症性サイトカインの産生量を減少させる結果が得られ、NAに抗炎症作用があることが明らかになった。 NAは生体内の血管内皮細胞に存在する酵素であるアンギオテンシン変換酵素に作用し、アンギオテンシン(Ang)ⅠからAngⅡを産生する経路を遮断することで血圧上昇作用を抑制する機能があることが報告されている。一方、AngⅡは血管収縮や炎症促進に関わるAT1受容体と血管拡張と炎症抑制に関わるAT2受容体にそれぞれ作用することが報告されている。そこで本年度はNAの炎症性サイトカインの産生抑制機構を解明する目的で、内毒素 (LPS) で刺激して炎症反応を誘導したマウス腹腔マクロファージを用いて、NAを作用させた時のマクロファージ表面のAT1受容体とAT2受容体の遺伝子発現の違いをリアルタイムPCR法を用いて解析した。その結果、NAを作用させるとLPS単独で炎症を誘発した時と比較して、AT1受容体の遺伝子発現量は減少したのに対し、AT2受容体の遺伝子発現は増加した。この結果から、NAがAT1受容体とAT2受容体に作用し、抗炎症作用を誘導することが明らかになった。 次に歯周病原細菌に対してNAがどのような影響を与えるのかを評価するため、NAを添加したブレインハートインフュージョン液体培地に主要な歯周病原細菌の1つであるPorphyromonas gingivalis (Pg) を作用させて37℃、嫌気条件下で培養し、経時的に試料を回収して培養液中のATP量を評価した。その結果、NAの添加によりPgに対する増殖抑制効果が認められ、NAが歯周病原細菌の発育抑制に関与することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞を用いた実験でNAが炎症を抑制するメカニズムが明らかとなった。またNAが歯周病原細菌の増殖を抑制する結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞や口腔細菌を用いた実験を継続しながら、NAが歯槽骨吸収を抑制するかどうかについても実験的に検討を加えていく。
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Causes of Carryover |
世界的な物価高騰の影響を受け、実験に使用するニコチアナミンや実験動物、試薬類、実験器具類などの購入価格がさらに値上がりしたことから、実験器材は必要な分の購入にとどめ、旅費も当初の計画よりも抑えた。その結果、僅かであるが次年度への持越しが生じた。
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