2023 Fiscal Year Research-status Report
ウイルス性呼吸器感染症予防に向けた口腔細菌叢によるポルフィリン類産生機構の解明
Project/Area Number |
22K10354
|
Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
高橋 一也 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (10236268)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖永 敏則 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (60582773)
南部 隆之 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80367903)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 口腔細菌 / ウイルス性呼吸器感染症 / ポルフィリン |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザウイルスやSARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)は,呼吸器由来の飛沫や濃厚接触により感染し,主に呼吸器の疾患を引き起こす.様々な慢性疾患をもつ高齢者は,特に肺炎,多臓器不全などの重篤な疾患を発症するリスクが高くなるため,ウイルス感染に対する効果的で安全性の高い予防法や対処法の開発が待たれている.これらの感染阻害物質として,プロトポルフィリンIXやヘムなどのポルフィリン類,またその代謝経路の上流に位置する5-アミノレブリ ン酸(5-ALA)が注目されている.最近,我々は舌苔をin vitroで培養した際,培養液に5-ALAを添加すると細菌コミュニティーからポルフィリン類が産生されることを見出した.本研究は,これまでほとんど明らかになっていない口腔細菌叢によるポルフィリン類産生について,個々の細菌種と細菌叢という異なるレベル を対象とした解析を高精度に並行して実施することにより,口腔内で起っている代謝機構の特性を解明するものである.2023年度は,ポルフィリン蓄積量を検出する系の改良を行い,高解像度で5-ALA添加後のポリフィリン変化を検出できることになった.これにより,酸素濃度によってポリフィリン蓄積が変化すること,菌株によってその蓄積が増殖フェーズに影響を受けることが明らかとなった.このことは,実際の口腔内では複雑な挙動が存在することを示唆している.今後,被検者より口腔サンプルを採取し,条件を再検討した中でHeme-PPIX-screen法を用いて培養液中のポルフィリン類の有無および濃度を測定していく予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多少の実験の前後はあるが,おおむね当初の計画通りに進捗している.
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度に得られた結果をもとに,次の研究を進める.1.口腔分離株のポルフィリン類産生能の計測を継続して行う.2.ポルフィリン産生能をもつ細菌の16S rRNA配列を解読する.3.途中までの研究成果を取りまとめ,国内学会で発表する.
|
Causes of Carryover |
サンプリング時期の遅れにより,次世代シークエンサー(MiSeq)での解析開始が遅れたため.現在は,順調にサンプリングが進んでおり,次年度は計画通りのMiSeqによる解析を行う計画である.
|