2022 Fiscal Year Research-status Report
病院事業継続マネジメントに資する災害対応訓練計画・実施支援ツールの開発
Project/Area Number |
22K10358
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 宏之 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (90625097)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | BCM / BCP / 訓練 / 災害医療 / 病院 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非災害拠点病院も含めた全病院で使用可能なWEB版病院災害対応訓練計画・実施支援ツールの新規開発を目指す。そのために、病院災害対応訓練を計画するための基本的要素を横断的調査によって抽出し、被災経験の有無、改善点を加味し、策定したBCP維持管理(BCM)に資する科学的知見に基づく訓練計画・実施支援ツールを開発し公開する。それによって各病院は災害時の診療機能維持に向けた平時の訓練の計画、実施に容易に着手できるようになる。 令和4年度は水害ハザードにさらされる日本の病院の現況を理解するため、各都道府県及び地方厚生局の病院データと国土交通省「国土数値情報(洪水浸水想定区域データ)」から、ESRIジャパン社 「ArcGIS」システムを用いて洪水浸水想定区域内に存在する病院データ解析を実施した。結果、少なくとも災害拠点病院765病院中221病院(28.9%)、また非災害拠点病院7406病院中2044病院(27.6%)が洪水浸水想定区域内に存在することが判明した。ただ、国土数値情報には全ての二級河川の洪水浸水想定区域が反映されているわけではなく、また内水氾濫による洪水浸水想定区域も網羅されていないことから、さらに浸水の恐れのある病院の割合は増えることが示唆された。 また同様の手法において土砂災害ハザードエリア内に立地する災害拠点病院は765病院中19病院(2.5%)、非災害拠点病院7406病院中405病院(5.5%)あることも判明した。土砂災害ハザードエリアには法的規制を受ける特別警戒区域、警戒区域などの区分があり、病院が土砂災害による機能停止を回避するためには各病院が自施設のリスクを自治体のハザードマップから再確認し、被害を最小限に食い止める施設利用計画を立てることが必要であると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、令和4年度では、日本全国の病院災害対応訓練実施状況、具体的には頻度、規模(参加職員数、模擬傷病者数等)、対象とする災害、実施方法(実動、図上演習等)、被災経験の有無、改善点、問題点についての横断的アンケート調査、上記から導かれる病院機能、病院種、病床数、立地区域等に応じた病院災害対応訓練を考慮する上での構成要素について東日本大震災等、過去の被災地域病院でのヒアリング調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染症蔓延による国内医療機関の緊急対応の発生、またヒアリング調査を実施できなかったことから研究がやや遅れている。 ただし、上記の遅れは残りの研究期間内にて対応可能と現時点では判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症に対する規制が解除されることから、病院における訓練実施状況調査、機能別訓練状況解析調査などを再開する。令和5年度は、病院災害対応訓練計画・実施において各病院が考慮すべき因子を、簡単な設問に回答し点数化することで項目別に自己診断できるproblem-oriented 病院災害対応訓練計画・実施支援ツール(仮称)の開発に取りかかる。
|
Causes of Carryover |
令和4年度に実施予定だった病院ヒアリング調査が新型コロナウイルス感染症蔓延のため実施できず旅費、謝金などに残余が生じた。令和5年度は様々な制限が解除されることから、繰り越しとなった旅費等を用いて実地調査を行う。
|
Research Products
(11 results)