2022 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性疾患患者における家系員への情報伝達の意思決定に与える要因の検討
Project/Area Number |
22K10381
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
荒川 玲子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 臨床ゲノム科医長 (40623111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 規弘 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 部長 (80293934)
高島 響子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 主任研究員 (10735749)
高野 梢 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, センター病院, 上級研究員 (60722452)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 家系員への情報伝達 / clinical actionability / SQMスコア / 知識ベース |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノム医療が実用化され、治療や早期診断により、臨床転帰を改善しうる遺伝性疾患が増えてきている。このような疾患においては、発端者の診断を契機として、ゲノム情報を共有する家系員の適切な医療管理につながりうるため、家系内のゲノム情報の利活用が期待されている。 遺伝情報を知ることで、医学的な側面から生じるメリットを推し量るために、clinical actionability (臨床的対応可能性) という指標が報告されている。この指標を半定量化する取り組みとして、米国ClinGen (https://clinicalgenome.org/)におけるActionability Working Group(AWG)がSemi-quantitative Metric (SQM) スコア (Hunter et al. Genet Med 2016) を算出している。このスコアは、疾患の重症度、浸透率、治療の有効性、介入の程度とリスクに関するエビデンスに基づいて作成されている。 文献調査および患者への聞き取りから、診断された疾患のclinical actionabilityは、家系内で共有しうる遺伝性疾患のリスクに関する情報を、家系員に伝えるか否かの意思決定に影響を与える重要な因子のひとつと考えられた。そこで、疾患ごとのclinical actionability を明らかにしたうえで調査研究を進めるためにSQM スコアを明示した日本語での知識ベースとしてMGenReviews(https://mgen.ncgm.go.jp/)を整備した。掲載した101疾患の中で、特に高いSQM スコアが算出された疾患のリストを作成し、これらの成果を学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝性疾患患者における家系員への情報伝達の意思決定に与える要因のひとつとしてclinical actionabilityに着目し、SQMスコアを明示した知識ベースを整備したことで、次年度以降の研究につなげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
患者の意思決定に影響しうる我が国の医療制度や、遺伝情報を受け取る側の要因にも焦点をあて研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症2019の影響により学術集会がオンライン開催となったことに伴う旅費の未消化や、物品購入の次年度への繰り越しが生じたため。
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Research Products
(1 results)