2023 Fiscal Year Research-status Report
A study of medical futility - with special reference to the inclusion of economic futility
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22K10384
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
齋藤 信也 岡山大学, 保健学域, 教授 (10335599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下妻 晃二郎 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (00248254)
白岩 健 国立保健医療科学院, 保健医療経済評価研究センター, 上席主任研究官 (20583090)
児玉 聡 京都大学, 文学研究科, 教授 (80372366)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 医学的無益性 / 量的無益性 / 質的無益性 / 経済的無益性 / 医学的適用 / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、遅れていた文献検討を進めた。医学的無益性と医療経済の関係において、「医師が社会の観点や経済性に配慮して、ベッドサイドでラショニングを行うことは、あってはならない。それは患者への背信である」(Nroman G)というすっきりした意見が基本になっている。これが、医師の代表的な意見と思われる。特にベッドサイドラショニングという、個別の医療に経済的な考慮を導入することを厳しく諫めるのが医療倫理の原則といえる。 一方で、「医師も社会の一員として、医療資源配分の政策決定に関わるべきであるが、それは政府の委員やガイドラインの作成者として行うべきであり、臨床医としては、それは行ってはならない」(世界医師会医療倫理ガイドライン)という現実的な線引きも提案されている。つまりベッドサイドラショニングは行ってはならないが、マクロレベルでの資源配分に関わるのは社会のエージェントとしての医師の役割であるとの整理である。 また、ベッドサイドラショニングを行っても、医療資源の節減にはつながらない(Council on Ethical and Judicial Affairs)という意見もあり、医療倫理的にこれを禁止するというより、経済合理性の面からみても、無意味であるという論旨も見受けられた。 医学的無益性に関するオピニオンリーダーともいえるJeckerが、「ラショニングと無益性の間の関係性は,認めるものの、道徳的意味においては、明確に区別すべき」と記述的に無益性と医療資源配分の関係があることと、規範論としてのそれをはっきり分けることを主張しているのは、議論の整理に役立つと考えられた。 現在これらの知見に基づき、論文を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2023年度には医師を対象としたフォーカスグループディスカッションの結果を反映したWeb調査を行う予定であったが、退職に伴う各種雑事に紛れて、それが行えなかった。また研究内容的には、フォーカスグループディスカッションに先立つ文献研究において‘conscientious objection’ (CO:良心的兵役拒否)という概念が新たに見いだされたことから、フォーカスグループインタビューにおいて、無益な治療を医師が拒否する部分の質問を作り直しているところでもある。
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Strategy for Future Research Activity |
可及的速やかに本来2023年度に実施を予定していたWeb調査を行い、2024年度末までにその結果をまとめる予定である。2024年度上期までにフォーカスグループディスカッションとそれに基づくWeb調査を終え、下期にその解析と論文化を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度に予定していたWeb調査が行えておらず、それを2024年度に延期したことが主たる理由である。次年度使用額はそのまま予定していたWeb調査費に充当する予定である。
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Research Products
(7 results)