2022 Fiscal Year Research-status Report
オンラインで身体診察を可能にする「リアルタイム遠隔聴診」システムの開発と臨床応用
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22K10421
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
廣澤 孝信 獨協医科大学, 医学部, 助教 (90810549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳増 一樹 岡山大学, 大学病院, 助教 (10838816)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オンライン診療 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究成果の概要】 遠隔聴診における心音図の有用性について検証を行い、有意差はなかったものの、診断精度が上昇するという結果を得た。 具体的には医師を対象に、遠隔聴診をしながら心音図を表示する介入群と遠隔聴診のみのコントロール群を比較するオープンラベルランダム化並行群間比較パイロット試験(研究登録:UMIN-CTR UMIN000045271)を行った。心音は心音聴診シミュレーターを用いた。電子聴診器とオンライン診療プログラムを用いてインターネットを介して遠隔聴診を行った。介入群でのみ同時に心音図の表示も行った。介入群では全体の正答率が66.7%(80/120)であり、コントロール群では55.0%(66/120)であり、正答率は10%以上の上昇は認めたものの有意な差ではなかった(P=0.06)。個別の心音についても両群で有意な差はなかった。一方で、介入群においては、異常心音(弁膜症や不整脈)を正常音とされることはなかった。以上より、遠隔聴診において心音図を併用することで正答率の上昇したものの、有意な差ではなかった。結果は、国際学会および国際医学雑誌にて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題に関連した研究として前述のような研究実績を達成し、その結果について論文掲載や学会発表を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
遠隔聴診における心音図の有用性について検証を行い、有意差はなかったものの、診断精度が上昇するという結果を得られたため、さらなる他の遠隔聴診の補助システムの開発と検証が求められることがわかった。そのため、遠隔聴診を補助することのできる聴診AI(Artificial Intelligence)のシステム開発および臨床上の意義を含めた検証を行う。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】 新型コロナウィルス感染症の流行による影響で研究計画に若干の変更が生じた。特に成果発表を予定していた複数の国際学術集会への参加が、学内の渡航規定による影響で変更せざるを得なかった。 【使用計画】 当初の計画での心音図の補助のみでは十分な遠隔聴診の診断精度向上が見込まれないため、遠隔聴診における診断精度に寄与する補助システムとして聴診AIの開発およびその臨床的意義の検証を行う。開発のための機器や、臨床的意義についての成果を国際学会に発表するための渡航費や医学雑誌に掲載するための校正費や投稿費に用いる。
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