2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K10439
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
倉田 真由美 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50378444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋野村 亜希子 滋賀医科大学, 医学部, 事務補佐員 (80748468)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 研究倫理 / 医学系研究 / 不適合 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績の概要 初年度は、「本邦における医学系研究でどのような不適合が多発しているのか不適合の発生状況と発生要因を明らかにする(実態把握)」の計画通り、どのような不適合が発生しているのか、自学のこれまでに集積された不適合事案の整理から着手した。本学において倫理審査申請システムを導入した2018年以降、経年の不適合発生件数、不適合事案の具体的な内容と発生理由、研究者が取組むと提示した不適合事案の発生防止策、倫理審査委員会で報告し、審議の結果として通知した発生した不適合事案に対するそれぞれのペナルティを整理集約した。前述の机上調査の結果、不適合の発生件数はシステムの導入後、翌年、一時的に半減したが、以後、年々増加しており導入の効果は恒常的なものではないことが明らかになった。不適合の内容で最も多かったのが変更申請の失念に関するもので、期間延長、症例登録数と登録期間など、予めの変更申請の手続きの不履行が大半を占めていた。不適合発生の理由の主なものは進捗管理が適切にできていなかったことによるものであった。現在、本学での不適合発生状況と適正実施のための対応について纏めているところである。このほか、重大な不適合について、指針第11の3で公表が義務付けられていることから、現在、各大学においてホームページ等で公表された重大な不適合事例を調査し、集約している。この結果をもとに、聞き取り調査を行い、全国的な傾向と書く大学での取組について実態を明らかにすることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、当初の計画通り不適合の発生状況の把握の取りかかりとして自学における実態調査に続いて、ネット上で公開されている重大な不適合の事例について集約し、各大学からの報告を精査し、聞き取り調査に必要な事項を抽出することができた。コロナ感染下における研究活動制限により遅延した状況を取り戻すには至らなかったことから、当初の計画よりは遅延した状況が続いている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は本学における不適合の発生状況について、過去の報告をもとに不適合事案の内容や発生背景などの調査を行い、現在、経年の動向を取りまとめているところである。次いで、現在はホームページ等で公表されている重大な不適合の報告事例を調査・集約し、全国的にどのような重大な不適合が発生しているのか、また再発防止策として具体的にどのような対策が取られているのかなどについて纏めているところである。前述の机上調査を終了した後に、これらの情報を共有しつつ、個別に各大学にそれぞれの施設における実態や低減策などについて聞き取り調査を実施する予定である。また本聞き取り調査後は、各機関において実情に合わせた低減策の検討に資する調査資料として纏めるとともに、集積した不適合事象を整理・分析し類型化し、不適合のパターンの可視化を試みる。 不適合を可視化ツール(評価シート)の考案とともに、不適合発生要因の分析を行い、発生低減の為の方略の検討を進める。不適合の発生低減につながる方略の検討にはリスクマネジメント理論を援用し、研究の進捗管理上の留意点の明確化、適正実施の意識付けの強化、マネジメント能力の向上を中心に、不適合評価レポートのフィードバックを通して、効果的・効率的な対策が提案を纏める予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由と使用計画;コロナ感染下における研究活動制限により,対面でのヒアリング調査等は制約されているため机上調査に留まり,不適合報告の発生背景などにかかる自学における聞き取り調査や他機関を対象とする実態調査等の実施には至らなかった。本年度で遅延した状況を取り戻すには至らなかったことから、当初の計画よりは遅延した状況が続いている。このため調査実施にかかる費用を計上していた分が未使用となり、次年度使用額が生じた。 使用計画 ;繰り越した費用は以下の計画に使用する。机上調査終了後、共有資料としてまとめ供覧できるようサイトを設置し運用するのに使用するとともに、個別に聞き取りを行う際の調整費や旅費として使用する予定である。このほか、不適合発生低減のための防止策などについて、具体的にどのような取り組みが実施されているのか、Google フォームなどでの調査を検討しており、調査にかかる経費として使用を計画している。
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