2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a GIS-based method for evaluating the accessibility of pharmacy/pharmacist functions, and Generation of proposals for improving uneven distribution
Project/Area Number |
22K10446
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
玉木 啓文 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (10794860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 和弘 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (10295545)
中村 光浩 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (30433204)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 薬局/薬剤師の偏在 / GIS / 地域メッシュ統計 / 地域包括ケアシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、在宅医療の推進やかかりつけ薬剤師/薬局の強化、地域包括ケアへの参画や健康サポート機能の提供、門前から面分業へ等、住民の身近な薬局による健康支援が目指されている。一方、住民の近くにこのようなサービスを提供できる薬局・薬剤師が十分存在するか、実用的なレベルで提供可能な地域体制が全国的に存在するかは検討されていなかった。本研究課題では、地域メッシュ内の住民と日本国内の全薬局との距離/アクセス性の情報を作成し、医療機関や住民の年齢等の属性を加味した薬局の利用性を評価する手法を構築すること、およびその結果示された利用性について改善方法を検討することを目的として研究を行ってきた。 令和5年度は昨年度に実施した 1 km メッシュでの解析を元に、通常の保険調剤を念頭に置いた都道府県ごとのカバー率の検討を実施した。結果、人口密度の低下に応じてカバー率が低下することを示し、高齢者が多い低人口密度の地域ほど近くに薬局がなく、不都合が生じる可能性があることを定量的に明らかにした。また、厚生労働省が 2023年3月に公開した、薬剤師の労働力に対する業務量の比を示す「薬剤師偏在指標」と、GIS を元にした薬局の人口カバー率を比較したところ、ある程度の相関を示したが低人口密度の範囲では大きな差が認められた。十分な薬局サービスの利用性を担保するには、薬局薬剤師の労働力の偏在とは別に、カバー率等を用いたアクセス性についても検討する必要があることを明らかにした。 また、在宅患者に訪問薬剤管理を実施している薬局は人口密度が高い地域のほうがカバー率が高く、いわゆる都会と田舎で利用性に差があることが示唆され、無菌調剤を継続的に実施している無菌製剤処理加算を算定している薬局は 5 km 以内の人口カバー率は 90%に満たず、10~16 km 等の遠距離での実施を考慮しないと十分にカバーされないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本邦においては、地域メッシュ統計は 250 m 単位のものまで公開されているが、基本となる 1 km メッシュ(基準地域メッシュ)で算出した人口/メッシュカバー率でも想定以上の有用性が認められた。そのため、この結果を用いて、単純な薬局機能以外に無菌調剤や在宅薬剤管理の利用観点でも解析を実施し、個別の薬局利用シーンにおけるアクセス性を検討することができた。また、予定していなかった要素として「薬剤師偏在指標」が厚生労働省により提示されたため、カバー率との関係を検討することが必要となり、カバー率の活用面で想定以上に研究が進展することとなった。 一方、より詳細かつ複雑な条件での解析を可能とするため、プログラムを用いた解析を令和5~6年度で実施することを考えているが、上記検討を優先して行ったため、今年度はデータ取り込みや距離解析等の基礎検討にとどまった。 各要素を踏まえ全体として評価すると、概ね順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
薬局によるカバー率の多方面での利用については特に令和 5 年度で大きく進展したため、次年度はより精緻で複雑な条件でのカバー率の算出手段を得るため、プログラムを用いた解析に力点をおいて実施していくことを予定している。 様々な条件下のカバー率を既存アプリケーションに依存せず算出できるようになることで、今年度に検討を行ったカバー率の活用部分での成果がより活かせるようになると考えられる。
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Causes of Carryover |
既存の計算機環境で GIS や解析に用いるソフトウェア、プログラムを実稼働したところ、ある程度の速度で動いたため計算機類の追加購入は控えていること、論文投稿・公開用の費用の確保などがあり、ある程度の残額が発生している。 オープンアクセスも含めた論文投稿にかかる費用の高額化により、その費用を確保しておく必要性が高まっており、その採否状況により残額はなくなる可能性がある。GIS は特にデータ量が多いため、どうしても操作結果の表示に長時間かかるなどの問題は抱えており、解析環境の整備と投稿費用、双方の兼ね合いを考えて使用することを予定している。
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